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2018年アジア・トレンドランキング ~インド編~

インド
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2025年には中国の人口を抜き世界最大に、また2050年までにはアメリカのGDPを抜き、世界第2位の経済大国になると予測されています。複雑な歴史背景や多様な民族、言語、宗教によって構成されており、政府・州による規制など参入する市場としては難しいと言われていますが、その大きな市場は魅力的でもあります。IT業界の発達や環境問題への取り組みなど、注目すべき点も多数あるインドのトレンドランキングです。

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 フードデリバリー市場が活況

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成長著しいインドのEコマースだが、フードビジネスも大きな成長市場だ。もともと飲食店レビューサイトとして浸透していた「Zomato」が、スマホアプリで好きな飲食店から料理をデリバリーできるサービスを開始。「Swiggy」といった競合も登場し、デリバリーサービスに対応していなかった飲食店の料理を自宅で食べられるようになった。
レストランだけでなく、インドで馴染み深い金属製の弁当箱に料理を詰めてデリバリーしてくれる「BGJCC」などのホームケータリングビジネスも活況となっている。100を超えるインド全土の伝統的な家庭料理をラインナップし、ホームパーティーでも利用しやすいということで、中間層以上から支持され、多様な食事スタイルが広がってきている。

トレンドの背景

オンライン注文が始まる以前から、商店からの無料デリバリーサービスの利用が一般的だった。一方でスマホやインターネットの普及は、さらなるサービスの拡充をもたらしている。そのうちの1つとして、飲食店からのフードデリバリーは忙しい現代社会を送るインド人の暮らしにもマッチ。待ち時間や配達先を伝えるやりとりを省け、自宅や職場で好みの食事をすることができる。家庭料理の弁当デリバリーサービスは特にオフィスで人気を博している。さらにクオリティの高い本格料理が楽しめるホームケータリングサービスも登場し、富裕層を中心に利用者を増やしている。

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 若者が牽引するビール市場

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インドのビール市場が存在感を増してきている。これまでは大手の「Kingfisher」がメジャーブランドとして知られていたが、最近では「Bira91」などのクラフトビールが登場し、若者のビール人気を牽引している。Bira91は330mlで90~110Rs(約140~170円)、500mlで125~150Rs(約200~約235円)とKingfisherの330ml50~80Rs(約80~125円)、500ml85~110Rs(約130~170円)に比べ値段は高いが、お洒落で味も美味しいと特に若者に好評だ。
最近では、マイクロブリュワリーのパブがバンガロールやグルガオンに進出し、単にビールを飲むだけでなく、「好みのビールを見つけ味わう」ことを楽しむ人が増えてきている。マイクロブリュワリーはラインセンスが必要なため、デリーでの展開は2018年10月現在まだないが、ビールをメインに取り揃えるパブ「Beer café」がデリー市内に進出し、多くの若者が集まっている。

トレンドの背景

アジアの中で最もビール消費量が低いと言われているインド。しかし近年、プレミアムやドラフトなどの付加価値のあるビールが続々と商店に並び始めている。暑い季節が長いインドの気候にビールは合っていることもあり、インドのビール市場は2020年までに毎年6.9%順調に伸び続けると予測されている。
欧米文化に触れて育った若者の間でアルコールを飲む文化が定着しつつあり、都市部のビール愛飲家の若者が市場を牽引している。さらに欧米のクラフトビール文化の波がインドにも押し寄せていて、クラフトビールの売上高は20%伸びるとの見解もある。メーカーは音楽フェスティバルのスポンサーなどを積極的に行い、若者に訴求を図っている。

 中毒者が出るほどNetflixが生活に浸透

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2016年にNetflixがインドに上陸した。2018年からインド人作家の小説を元に制作された『Sacred Games』が配信され、インドオリジナルコンテンツでユーザー増を図っている。Amazonなどの他社に先立ちNetflix独自の作品を展開するなど、プランにもよるが月500~800Rs(約785~1,255円)というインドの物価から考えると会費がやや高いにも関わらず多くのユーザーを惹きつけている。Netflixで新しいコンテンツの配信がアナウンスされる時には必ず話題に上がるほどで、今後インドは世界で2番目に大きいマーケットになると予測されている。
また、インドでは世界で初めて「Netflix中毒」になり、心療内科を訪れる人も出てきており、あえてNetflix会員になることを避ける人もいるほど、影響力も大きくなってきている。

トレンドの背景

2016年9月に通信会社「JIO」が低価格データプランを武器に市場に参入したことで通信業界が一転した。その安さから他の大手通信会社からJIOに乗り換える人が増え、低価格競争が始まった。スマホの普及率も急上昇し、多くの人がインターネットにアクセスできる時代になった。ネット利用方法では動画視聴を楽しむ人が多く、インドの公用語の1つが英語であることからアメリカやイギリスで人気のドラマシリーズや映画を気軽に視聴できる点も市場拡大の要因として考えられる。また、ボリウッドをはじめとする、映画が娯楽産業の多くを占めるインドでは、Netflixに自国作品が登場したことも大きな魅力になっている。クリエイター側も、自らの作品がオンラインで世界中に一気に配信されることで、創作意欲を掻き立てられるという効果ももたらしている。

 インド古来のスーパーフード、アマランサス&ラギ

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欧米の健康ブームは、インドにも波及。オーガニックフードも一般的になり始め、オンライン注文も可能になり、手軽に入手できるようになってきている。また、グルテンフリーを謳うパンやビスケットなども店頭で見かけるようになった。さらに最近ではインドで古来より食されていた穀類がスーパーフードとして注目を集めている。
例えば、断食をする修行者や病み上がりなどに食べられていた「アマランサス」は、今ではグルテンフリーのシリアル代替として製品化し、110Rs(約170円)ほどで購入できる。また、「ラギ」という雑穀はロティの原料に使われてきたが、ラジャスタン州ではラギを使用したビスケット製品も登場。インドは国土も広く、北東部で食されるブラックライスなど、多数の食文化があり、伝統的な食材の再発掘が進んでいる。

トレンドの背景

オーガニックブームやグルテンフリー志向の波に乗り、昔から地方料理などで使われていた穀類がインドのレストランや商店の一角に見られるようになってきた。世界的にブームになったキヌアは300Rs(約470円)前後と価格も高く、購入できる人はそれほど多くない。しかし、インドに以前からある食材で身体に良いとされる食物は多く、一般家庭でも食されている。
インドの家庭ではインスタント食品を食べるのは最近になってからで、家庭で料理を手作りすることが一般的。インドの家庭では欧米の健康志向の影響を受けつつ、自国の伝統を見つめ直した健康食ブームが今後も続きそうだ。

「アングリーハヌマーン」ステッカーが大人気

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2018年の上半期、猿の姿形をしたヒンドゥー教の神様であるハヌマーンのステッカーを貼った車両を多く目にするようになった。このハヌマーンステッカーは「アングリーハヌマーン」と呼ばれ、南インドのケーララ州のグラフィックデザイナーが友人のためにデザインしたが、それがSNSや口コミで広がり人気が拡大。信仰の対象である従来のハヌマーンとは異なるアメコミテイストの表情が多くの人を惹きつけ、自動車や二輪車などの装飾として用いられた。特にハヌマーン信仰が強い南西部カルナータカ州では爆発的な人気を博し、ベンガルールが起点となって一気にインド全土に広がった。

トレンドの背景

インドでは自動車や二輪車にステッカーを貼るなど、車両を派手に装飾する人が多く、街中を歩けばアングリーハヌマーンを見ない日はないほどだった。著作権の概念があまり浸透していないインドでアングリーハヌマーンのステッカーが大量に生産されるようになったこともインド全土への浸透を後押しした。アングリーハヌマーンの怒ったような、何かを訴えるような表情が従来のハヌマーンのイメージとは異なるということで人気になったと言われているが、ヒンドゥー至上主義を謳う右翼的なモディ政権を支持しているのでは、という声も上がるなど、政治的にも注目を集めた。


■グローバルトレンドがインド流アレンジで広がる

日本を含め世界中で浸透しつつあるフードデリバリーサービスはインドでも急成長を遂げているビジネス。インドならではの動きとしては、インド全土の家庭料理や伝統料理のデリバリーサービスがスタートしたことでこれらの料理の見直しも始まっている。4位のインド古来のスーパーフードは、欧米の健康ブームを受けるかたちで脚光を浴びることに。伝統的なインド食材の健康面に注目が集まり、新しい食べ方も今後提案されるだろう。

■自分好みな選択、
「カスタマイズ」できることが支持される

2位はクラフトビールメーカーが増加し、マイクロブリュワリーのパブなども増えたことで、マスブランド製品だけではない新たな選択肢が生まれた。より自分好みのビールを飲みたいという、近年の世界的な食トレンドでも見られる「カスタマイズ」の意識によりトレンドになった。また、Netflixの上陸によって、映画が娯楽の中心にあるインドで、より多くのコンテンツの中から自分の観たいものを手軽に視聴できるようになった。Netflixはインド発のオリジナルコンテンツも配信することで人気を得ている。

TNCアジアトレンドラボでは、
こうした動きを2019年も引き続きウォッチしてまいります。bottome3img_IN2018


■調査概要調査方法:TNCアジアトレンドラボ、現地ボードメンバーを中心としたグループインタビュー、およびライフスタイル・リサーチャーによる定性調査

調査時期:2018年10~12月

調査対象者:デリーに5年以上居住する男女、かつアッパーミドル以上の生活者、10代後半~20代前半の、トレンドに敏感な層

調査実施機関:株式会社TNC(http://www.tenace.co.jp/)および海外協力会社


■株式会社TNC

各国の高感度層で構成される現地ボードメンバーと共にグループインタビューやリサーチを定期的に行い、ウェブサイトで情報発信や分析を行う『TNCアジアトレンドラボ』を2015年8月よりサービス開始。また70カ国100地域在住600人の日本人女性ネットワーク『ライフスタイル・リサーチャー』を主軸とした海外リサーチ、マーケティング、PR業務を行う会社です。現地に精通した日本人女性が、その国に長く暮らさないとわからない文化や、数字に潜む意味をひもとき、日本人が未だ知らない斬新なモノやコトを探すインバウンズ、日本企業が進出する際のベースとなるリサーチ・アウトバウンズや、現地の人たちの暮らしぶりや生活習慣のレポートから、海外におけるヒント探し、市場レポートなど幅広く対応します。また、レポートに基づいた視察のアテンドも行っております。


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株式会社TNC TNCアジアトレンドラボ編集部 濱野・木下

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