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2018年アジア・トレンドランキング ~マレーシア編~

マレーシア
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2018年5月9日に行われた第14回総選挙で、マハティール・モハマド氏が率いる政党連合の希望連盟が連邦議会下院の過半数議席を獲得し、政権交代を果たした。1月に日本発の18店のレストランが集結したフードコート「J’S GATE DINING」がオープン。7月には「JAPAN EXPO MALAYSIA 2018」が開催され、依然として日本食や文化への関心が高いマレーシア。中間層の増加に、訪日旅客数は43万9,500人と二桁増の伸びを記録。インバウンドの重要な市場でもあるマレーシアのトレンドランキングをご紹介します。

 

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  キャッシュレス化でひったくりや盗難防止

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2018年現在、マレーシア人のクレジットカード使用率は50%を超えた。「Touch’n Go」は、日本のSuicaのようなプリペイド式のICカード。高速道路だけでなく、クアラルンプールではバスや電車の乗車、売店、駐車場、特定の店でも使用可能。また、マレーシアの銀行では、インターネットバンキングの使用者を増やすために、2011年からオンラインによる電子決済サービスをスタート。小切手の発行料をRM0.5(約13円)からRM1(約27円)に値上げすることで電子決済への移行を加速させようとしている。最近ではフードコートやショッピングモールなどで、QRコードで支払いができる店舗を増やすとし、現金を持たなくても携帯1つで支払いができるようになってきている。

トレンドの背景

マレーシアの生活者がキャッシュレスへ移行するメリットとしては、ひったくりや盗難を防ぐことができることが大きい。また、ATMの長い列を待つ必要がない上、窓口で会話する必要もない。さらに紙の使用量減などが挙げられる。 現在では「Touch’n Go」以外に、「GrabPay」「AliPay」「BigPay」「MPay」「FavePay」など、様々な電子決済がある。一方で、解決しなければならない問題もある。ハッカーによる攻撃や個人アカウントを保証すること、携帯やコンピューターが得意でない高齢者でも簡単に使用できるシステムの開発が追いついていない現状もあり、キャッシュレス化に合わせて改善が求められている。

 

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「日本風」のファミリーマートが躍進中

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2016年11月にマレーシアに初出店したファミリーマートは、2018年10月現在、店舗数を60店舗以上に増やしている。日本のファミリーマートで扱う菓子や飲料が販売されている他、看板メニューでもあるカフェコーナーのアイスクリームなどは頻繁に新フレーバーを出し、消費者を飽きさせない工夫がされている。特に人気のおでんは出汁に唐辛子を使用し、辛い物が好きなマレーシア人用にローカライズしている。
多くの店舗がクアラルンプール市内にあり、都会に住む忙しい人にとっては簡単にヘルシーな日本食が食べられると支持されている。請求書の支払いなどもカウンターにて可能で、ファミリーマート用の電子決済システム「FAMICASHLESS」もある。今後は、フリーWiFi、荷物の受け取り、発送、FAX、写真現像などのサービスも予定している。

トレンドの背景

特に多くの人が利用しているのがKLIA2空港内のファミリーマートで、おにぎりが大人気。マレーシア格安航空エアアジアでは、機内食が有料のため、おにぎりを持ち込む人が多く、あっという間に完売してしまう。おにぎりの具材は人気のツナだけでなく、ブラックペッパーチキンやサーモン&クリームチーズ、中華イイダコ、中華ワカメなどもある。
ショッピングモールや「ショップロット」と呼ばれる小さな店舗が並ぶエリアや病院では、イートインを使用する人が多い。ベーカリーは日本と同じの味のパンを手頃な価格で食べることができる。ファミリーマートはローカライズだけではなく、日本と同じ商品やメニューを扱ったことで成功を収めている。

 

 運転ストレスを回避するため配車アプリを活用

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スマホにアプリをダウンロードし、簡単に使用できる配車アプリ「Grab」はマレーシアでも浸透。支払いも現金なしでも乗車可能。乗車する度にポイントが貯まり、貯めたポイントで無料で乗車できる他、買い物もできる。
以前は、車を所有していない人や外国人などの移動手段としてよく利用されていたが、街中へ食事に行く際や、駐車場を見つけるのが難しい場所に行く際など、マレーシア人の利用も増加しているという。最近では通勤にも使用するマレーシア人もおり、自身で運転することのストレス回避に配車アプリを利用する人が増えている。

トレンドの背景

マレーシア人にとって大きなストレス要因の1つに車の運転が挙げられる。前政権時に着工したモノレール建設プロジェクトは継続され工事は進んでいるが、渋滞問題は解決していない。車社会のマレーシアでは、行き帰りの渋滞は避けることはできない。また、運転だけでなく、駐車場探しもストレスになっている。そんなマレーシア人の運転ストレス解消に一役買っているのがGrabである。
価格も乗車前に提示され、ドライバーとのトラブルもない上、駐車場を探す手間も省ける。またGrabドライバーも増え、仕事帰りにアルバイトとしてドライバーをする人も多いため、簡単にドライバーを見つけることができることも利用者増加に拍車をかけている。

 

 税率アップで密輸品や違法たばこが急増

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マレーシア政府は9月1日に物品・サービス税(GST)に代わる間接税として、売上税10%、サービス税6%(SST)を導入した。GSTの撤廃とSSTの導入は、マハティール新政権が掲げた「政権交代後100日で取り組む10の公約」の1つである。政府としては、イスラム教国であるマレーシアにおいて、イスラム教徒以外の酒とたばこの消費を減らすことが目的であったが、税率の引き上げを受け、近隣諸国からの密輸品や違法たばこが急増した。

トレンドの背景

2018年5月9日に念願の新政権へとなり、GSTからSSTに移行した。どちらの税制が良いかは現段階では計れないが、レシートに消費税が記載されなくなっただけでも国民は喜んでいる。そんな中、酒やたばこが値上げ。それにより消費が減少すると想定した政府だが、実際は密輸品や違法たばこの割合が増え、粗悪な商品が身体に悪影響を及ぼす事態となっている。
通常のたばこはRM17(約460円/箱)前後に対し、違法たばこはRM3~6(約80~160円/箱)で購入できることから、飲酒や喫煙の消費減少にはつながっておらず、喫煙率は45%前後と依然高い。

 

 猫ブーム加熱で猫の飼い方、接し方にも変化

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マレーシアの人口約3,200万人の中、マレー系(マレー人)が約67%を占めており、イスラム教では犬は不浄とされ飼うことができないこともあり、マレー人は昔から猫好き。そんなマレー人の猫への扱いに、ここ数年で変化が起きている。ショッピングモール内にペットショップが増え、キャットフードの種類や玩具も充実してきている。
2017年から開催されている猫の展示会イベントは、2018年も好評で15,000人が訪れた。展示会では160店舗の猫関連の店が参加し、海外から珍しい品種の猫が500匹展示された他、海外のキャットフード、首輪、玩具、爪研ぎ、服、アクセサリーなども販売された。

トレンドの背景

マレー人はこれまで屋外で飼育し、余り物のご飯を与えるなど、猫にお金をかけることはなかった。しかし最近では、猫の知識を雑誌やインターネットで入手し、動物病院へ検診に連れて行き、猫サロンで爪切りやブラッシングをしてもらうようになった。また、キャットフードを与え、猫用の部屋までつくり、避妊手術を受けさせるなど、飼育の意識や環境に変化が生じている。
多くのマレーシア人(特にマレー人)が猫の展示会に足を運び、猫関連商品を多数購入していくといった光景が見られるようになるなど、中間層の増加により猫も良い飼育環境で飼育されるようになってきている。


■急速なキャッシュレス化を推進

渋滞緩和策の1つとして、高速道路の完全キャッシュレス化を実現したマレーシア。導入されたプリペイド式ICカードの「Touch’n Go」は、高速道路だけでなく、クアラルンプール市内のバスや電車、売店、駐車場の他、特定の店でも使用可能と、利用範囲を拡大している。また、銀行の小切手の発行手数料を値上げするなど、電子決済への移行を促している。QRコードで支払いできる店舗も増えており、世界的な波に乗るように急速なキャッシュレス化が進むだろう。

■日本でお馴染みの商品が躍進の鍵

訪日旅行者が急増しているマレーシア。訪日の際やエキスポなどで、日本食に触れる機会が増えたことも影響し、ヘルシーな日本食がそのまま手軽に購入できるコンビニはマレーシアで急速に拡大している。中でも2016年に出店したファミリーマートが躍進している。競合他社との差別化として「日本風」が売りのファミリーマートは、日本でお馴染みの商品が売られていることから、日本へ旅行したことのある消費者から人気が高い。また、日本人に人気の移住先として1位に挙げられるマレーシア。多くの在留邦人もその人気を支えている。

TNCアジアトレンドラボでは、
こうした動きを2019年も引き続きウォッチしてまいります。
他国のトレンドランキングの更新もどうぞお楽しみに。
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■調査概要調査方法:TNCアジアトレンドラボ、現地ボードメンバーを中心としたグループインタビュー、およびライフスタイル・リサーチャーによる定性調査

調査時期:2018年10~12月

調査対象者:クアラルンプールに5年以上居住する男女、かつアッパーミドル以上の生活者、10代後半~20代前半の、トレンドに敏感な層

調査実施機関:株式会社TNC(http://www.tenace.co.jp/)および海外協力会社


■株式会社TNC

各国の高感度層で構成される現地ボードメンバーと共にグループインタビューやリサーチを定期的に行い、ウェブサイトで情報発信や分析を行う『TNCアジアトレンドラボ』を2015年8月よりサービス開始。また70カ国100地域在住600人の日本人女性ネットワーク『ライフスタイル・リサーチャー』を主軸とした海外リサーチ、マーケティング、PR業務を行う会社です。現地に精通した日本人女性が、その国に長く暮らさないとわからない文化や、数字に潜む意味をひもとき、日本人が未だ知らない斬新なモノやコトを探すインバウンズ、日本企業が進出する際のベースとなるリサーチ・アウトバウンズや、現地の人たちの暮らしぶりや生活習慣のレポートから、海外におけるヒント探し、市場レポートなど幅広く対応します。また、レポートに基づいた視察のアテンドも行っております。


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株式会社TNC TNCアジアトレンドラボ編集部 濱野・木下

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