青を基調としたブランドカラーが特徴
中国主要都市に店舗を次々と拡大
スイスロール界のエルメスと呼ばれる上海発の手作りスイスロール専門店「the Roll’ING」。2023年6月にオープン後、SNSで急速に人気が広がり、北京や杭州、深圳、天津など主要都市に次々と展開。店舗のデザインや商品の包装を青色で統一し、顧客に視覚的インパクトを与えている。スイスロールは手作りに特化し、価格は1本あたり39~49元(約795~1,000円)。今の中国でこの価格帯は良心的ではあるが、1時間程度並ぶ時間を考慮すると安くはない、との声も多い。種類も豊富で、フランス式濃厚チーズ、カカオ60%使用の生チョコ、ローズライチのほか、デトックス効果があるとされる竹炭パウダーを使用した黒い生地が印象的な抹茶チーズの4種類と季節限定の味(ココナッツマンゴーなど)を販売。毎朝10時から販売し、1日18回、35分ごとに焼き上がり、同じ味のスイスロールは1回につき36本。並んだとしても必ず目当てのフレーバーが手に入るとは限らず、待ち時間や販売方法に不満の声もあるが、あくまで当ブランドは手作りにこだわり、時間を要することを伝えている。店舗も厨房部分はガラス張りにし、焼き上がりの工程、クリームの装飾、ロゴを押す工程を顧客が見ることができるようになっている。
インフルエンサーによって知名度が向上
一方で転売や行列などの課題も浮き彫りに
スイスロールは元々世界中で人気のあるデザートであり、欧米やアジアでも馴染みのあるものとなっている。カフェメニューのみならず、パーティーや誕生日会など様々な会で登場し、大衆の間で高い人気を誇る。その理由として、楕円形でエレガントかつ繊細な形に様々なカラーやフルーツ等で装飾することにより視覚的な効果を高めており、さらにフレーバーの選択肢も幅広いことが挙げられる。お茶やサトイモの餡、ココナッツなど、中国人が好むような独自の味に見た目の美しさが加わり、さらに目を引く店舗や包装の青色がウケて、SNSでのインフルエンサー宣伝効果により一気にブランド知名度が向上した。しかし、ブランド知名度が上がるにつれ、問題視されるのが行列や転売する人々(黄牛)の出現、販売方法だ。中国でのSNSヒット商品は、移り変わりが激しいため、商品の特徴を保ちながら、サービス効率を向上させ、市場秩序を規範化し、今後の発展に繋げていく正念場でもある。