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【後編】インド初の政府公認日本アニメイベント「Mela! Mela! Anime Japan!!」特別レポート

インド
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2024年9月28日(土)と29日(日)に、インドのデリー北西部にあるPacific Mall Tagore Gardenで開催された、日本のアニメ・コンテンツを体験できるアニメイベント「Mela! Mela! Anime Japan!!」。後編のレポートでは、イベントの参加者の声を中心にお届けします。

前編はこちらから:https://tnc-trend.jp/india49/

 

11時の開場時からインド人のアニメファンが集まっていたが、休日は昼過ぎから夕方にかけて活動を開始する人が多いため、15時ごろに来場者がピークに達し、コスプレをしたアニメファンなどで活気付いた。20代の男性が多く、家族連れや女性も多く訪れていた。

多くの来場者が「Instagramで見た」と話していて、若い世代に日本のアニメが広がっていることが感じられる。20代の世代は、子どもの頃に『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』、『忍者ハットリくん』を見て育っていて、これらのアニメはインド文化に合わせて編集や吹き替えが行われていた。『クレヨンしんちゃん』はその言動が問題視され、一時は放送中止になったが、人気の高さから再放送されている。

コスプレは『鬼滅の刃』が特に人気で、人々に囲まれて撮影が絶えなかった。

その中でも甘露寺蜜璃と胡蝶しのぶのコスプレイヤーは、女性のコスプレイヤーが少なかったこともあり、大人気になっていた。

胡蝶しのぶのコスプレをしていたチャールビさん(21歳)は、「CrunchyrollやHi Animeでアニメを視聴していて、『スタジオジブリ』や学園ものも好き」「最近は『ハイキュー』、『ブルーピリオド』など何かに打ち込む学園ものも気に入っている」と話していた。彼女はInstagramでコスプレの投稿をしており、このイベントもInstagramで知って友達と来場したとのことだ。
この後、友達とラーメンを食べるのを楽しみにしていると言っていたが、撮影を求める人がひっきりなしに来ていた。

ナルトのコスプレをしたアミットさん(20歳)は、「アニメイベントは2度目で、1回目は大学のイベントに参加した」と話していた。子どもの頃からアニメが好きで、インドのアニメチャンネルANIMAXで『ナルト』を観ていたそうだ。お気に入りのアニメは『ナルト』と『Death Note』だと言い、特に『ナルト』には子ども時代の思い出が詰まっていると語っていた。

『地縛少年花子くん』のコスプレをしていたサッチンさんは、ほかのイベントでもコスプレを楽しんでいるという。コスチュームは手作で「帽子や黒の衣装を購入してアレンジし、シールを貼って仕上げた」と語った。

そのほか、『ワンピース』のルフィやゾロのコスプレイヤーも登場し、写真撮影で盛り上がっていた。

インドでは中華料理や韓国料理に比べて日本食の浸透度はまだ低いが、最近では寿司や天ぷら、ラーメンを提供するアジア料理店が増えている。来場者の多くが寿司やラーメンを食べた経験があると話していた。

イベントにはデリーの有名な日系レストランが出店していた。『くふ楽』の店舗では焼き鳥やラーメンが人気だが、今回のイベントではまぜそばを提供しており、多くのインド人が試していた。特にベジタリアンオプションが人気だった。

インドはベジタリアンの人口が多い。また、普段はチキンやマトンを食べている人でも、新しい料理に対しては抵抗を感じることが多く、まずはベジタリアンオプションを選ぶ傾向がある。そして、初めての料理を試す際には、味を確認するために少量を食べる傾向もある。

家庭的な日本食を提供する『愛味』では、おにぎりや黒糖かりんとう。家族連れに人気のレストラン『EBIS』は寿司。『CHIRAN』ではインドでも人気が高まっている抹茶を使った抹茶ロールや抹茶ラテを提供していた。

『AJU Nagomi Family Dining』と『Dia Park Premier』では、アニメをイメージしたおにぎりやどら焼き、サンドイッチを提供していて、イベントに訪れたインド人に喜ばれていた。サンドイッチは、ジャガイモをベースに作ったベジサンドイッチが人気ということだった。

『Dia Park Premier』の調理担当者によると、きなこもちが人気で、28日はすぐに売り切れてしまったという。インド人は粘り気の強いものが苦手な人が多いということで、柔らかくふわふわと軽い食感に仕上げたことで、特に好評だった。

ニキルさん(16歳)とジュリアンさん(15歳)は、ノンベジのまぜそばとキャラおにぎりをシェアして食べていた。二人ともベジ寿司を食べたことがあるが、生魚やエビはあまり得意ではないようだ。「ラーメンは初めて食べたけど、おいしいし食べやすい。おにぎりはアニメによく出てきていたので、一度食べてみたかった」と話しながら、おいしそうに食べていた。

ニキルさんはこれまでに60本以上の日本アニメを観ていて「好きなのは『HUNTER×HUNTER』、それに『ドラゴンボールZ』、あと『ブルーロック』も良かったので、どれが1番かは決められない」と語っていた。『HUNTER×HUNTER』のストーリーが好きだが、作者が体調不良で休止していることが残念で、続きを楽しみにしているとのことだ。彼はキルアが好きで、絵が得意な友人が彼のために描いてくれたと、Instagramを見せてくれた。

ジュリアンさんは『ジョジョの奇妙な冒険』が一番好きだそうで、「特にパート3とパート5のアートと迫力がたまらない」と熱弁してくれた。二人に今後のアニメに対する期待を聞くと、「インドのアニメコミュニティがもっと広がって、アニメの放送やグッズが増えて欲しい」と語り、「このイベントはコミコンよりも楽しいから、次回も楽しみにしている」と嬉しそうに話してくれた。

まぜそばを食べていたダルメーシュワルさん(23歳)は2日間とも来場していて、日本食についての意見を聞かせてくれた。彼は「ラーメンや焼きそばは食べたことがあるが、まぜそばは今回初めて挑戦した。とてもおいしかった」と話していた。昨日は好きな寿司も食べたが、「ママゴトやヤムヤムチャ(インド人向けアジア料理レストラン)の寿司の方が好きだ」とのことだ。彼はスパイシーマヨ天ぷら寿司など、濃い味のものが好みで、日本のシンプルな寿司は少し物足りなく感じたようだ。
また、彼は子どものころに『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』、『キテレツ大百科』をよく観ていたが、3、4年前からNetflixやAmazonプライムでアニメを観始めたそうだ。昨日は我妻善逸のプリントTシャツを着て来場し、「『鬼滅の刃』の映像美や背景描写が好きだし、善逸の憎めないキャラクターも良い」と、『鬼滅の刃』が特にお気に入りだと語っていた。

『Hakuhodo Data Labs India』のブースでは、特殊な撮影機で撮影した自分の写真を、アニメ風に加工できる体験ができた。撮影後、画風や背景を選び、携帯番号を登録してスマートフォンに画像をダウンロードする形式だ。

カップヌードルとヤクルトのサンプリングには、長蛇の列がいつまでも続いていた。

インドのカップヌードルは、Mazedaar Masala(スパイス味)、Spiced Chicken、Veggi Manchow(ベジスパイシー中華味)、Chilli Chilli Chilli(スーパーホット)など、主にカレー味やスパイシーな商品がラインアップされている。

ヤクルトは2024年7月に、インド人が大好なマンゴー味を新発売した。インドではマンゴー味の飲み物やデザートは多く販売されており、マンゴーラッシーや、丸ごとマンゴーを使ったアイスクリームなどの人気が高い。

『G-SHOCK India』と『Yamaha Motor India』のブースも、たくさんの人でにぎわっていた。

 
 
 
 
 
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イベントの主催者である山中崇之さんによると、このイベントは日本人個人と日本企業の「ALL JAPAN」で企画・主催することにこだわったとのことだ。

「日本人が本気で取り組んだらこれだけ面白いイベントになると見せたかった」との言葉から、その意気込みが伝わってきた。「さまざまな要素を盛り込み、これまで日本の宣伝や広告が上手くできていなかった部分を補いたかった」とも語り、自身もアニメ好きとして、アニメを通じて日本をもっと知ってもらいたいとの思いがあったようだ。

「今回のイベントは各出展者各自の情熱や想いに一任する文化祭のようなイメージで行い、個人や企業が一丸となって成功させたことを誇りに思う」と話していた。

今後の課題については「今回のイベントではインド国内で調達できるものだけを使って準備を行った。なぜならインド政府が進めている『Make in India』の現地製造優遇政策もあり、日本から製品を持ち込む場合に高額な関税がかかり、さらに販売認可が下りるまでに3~6か月ほどかかってしまい、時間と費用が非常にかかるためだ。そのため、販売を希望する日本企業が多くても、今回は断念せざるを得なかった。こうした課題が解消できるように、インド政府と友好関係を築き、改善を進めていきたい」と述べた。

今回のイベントを通じて、インドの多くの人々が日本のアニメや文化に強い関心を持ち、楽しんでいる姿を見ることができました。日本文化や食文化がさらにインドで広まり、双方の交流が深まる可能性を強く感じる「Mela! Mela! Anime Japan!!」でした。