中国国内で自然派コスメの売り上げトップに
国際的なコスメ専門メディアでも紹介
2023年の双11(11月11日/独身の日)において、2021年に始動したばかりの中国コスメブランド「東辺野獣」が、自然派コスメカテゴリーの売り上げトップとなった。 2024年2月には国際的なコスメ専門メディア「Beauty Matter」による「注目すべき世界のコスメブランド50選」に唯一の中国コスメとして選ばれた。同ブランドのオリジナル美容液は、雲南省シャングリラ産のキノコ(主に霊芝)の成分を使用しており、アラフォー世代の間で話題となっている。パッケージには、シャングリラ(貧困層が多い地域)の子どもたちが描いたキノコの絵を採用している。また、現地の子どもたちが自由に利用できるライブラリーを設置するなど、積極的に社会活動も展開している。さらに、ECで商品を購入すると、手作り感のある雑誌のような小冊子「Zine」が同封されており、商品のストーリーやクリエイティブ、デザインに関心を持つ意識の高い顧客層の心を掴んでいる。
世代ごとに刺さる国産コスメが登場
中国の良さを再認識したブランドが目立つ
ここ数年、中国コスメといえば、Z世代向けのカラーコスメやプチプラ、パッケージ重視の国潮(中国らしさ)商品が多く、購買力のあるアラサー・アラフォー世代には響かない商品が多かった。また、2022年ごろにブレイクした口紅王子によるライブコマースがたびたび炎上したことで、ECでの商業主義的な売り方に疑問を抱く層も増えていた。一方で、コロナ禍をきっかけに海外で経験を積んだ人々が多く帰国し、海外視点から中国の良さを再確認し、新たなブランドを立ち上げる例が増加している。「東辺野獣」はその一例で、富山大学で薬学を専攻した研究者と、ロレアルのパリ本社でコスメメーカーのノウハウを学んだ中国人女性の二人によって立ち上げられたブランドだ。こうした専門知識と実力を持つ国産コスメブランドは、今後さらに増加するとみられている。