食・飲料

ハイクオリティなスイーツ「ペイストリー」のトレンド/フィリピンZ世代の間食習慣に変化の兆し

フィリピン
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SNSではおしゃれなベーカリーが人気
多彩なローカライズメニューも登場

フィリピンの食習慣であるおやつ(間食)に新たなトレンドが見られている。サンドイッチのほか麺類など食事に近いものがおやつとして食べられていたが、8年前にフランスのペイストリー文化を取り入れたカフェのパイオニア的存在である「Wildflour Restaurant」がオープンして以来、おしゃれなペイストリーが食べられるようになるなどの変化が見られている。以前はシンプルなクロワッサンでさえ買える店が限られていたが、この1~2年ほどでカフェの「Coffee Blanc Manila」やシンガポール発祥の「Tiong Bahru Bakery」などペイストリーを提供する新店舗が次々オープンした。若者の間で人気のクロワッサンとクッキーを合体させたCrookie(クルッキー)やブラウニーとクッキーを合体させたBrookie(ブルッキー)などのほか、クッキー生地にフィリピンの紫芋(ウベ)をのせたもの、フィリピンのプリン「レチェフラン」を組み合わせたデニッシュなど多彩なローカライズメニューも登場している。

このようなカフェで若者たちは、ペイストリーを食べながら過ごす様子をSNSに投稿している。23歳の会社員女性は「インスタで常においしそうなベーカリーをチェックしている。おいしいだけではなく、新しくて、可愛いメニューを見つけるとすぐに買いに行く」と言う。 クロッキーは1つ190ペソ(480円)ほどで、マクドナルドのチーズバーガーが82ペソ(210円)と比較すると値段は決して安くはないが、Z世代の他にも学校帰りの子どもと母親がおやつを食べるために、こうしたカフェを利用するようになっている。

拡大中のカフェ市場に伴い、
ベーカリー文化が広く浸透

フィリピンでパンといえば、パンデサールというバターロールのようなパンに好みのバターやジャムをつけたものや、スペイン統治下に広まったエンサイマダと呼ばれるメロンパンのようなパンの上に甘いクリームがかかっているものが定番だった。しかし「Wildflour Restaurant」がオープン以降、焼き立てのデニッシュやクロワッサンなども食べられるようになった。また、海外の食文化を受け入れるのを好む国民性を持つフィリピン人らしく、欧米スタイルのパンにフィリピンの食材を掛け合わすこともよくあり、ウベのペーストをパンやペイストリーに用いてアジア風にアレンジしたメニューも多い。こうしたペイストリーなどの甘いパンの人気は、フィリピン国内で16億2,000万米ドル(2023年)とも言われるコーヒー市場の拡大やスターバックスなどの大手コーヒーチェーンがフィリピンで成功したことも後押しとなり、コーヒーと合わせて甘いものを一緒に食べるのが好まれるようになっている。