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伝統菓子を現代アレンジしたK-デザート「ジョングァ」/Z世代によって伝統茶屋にも注目集まる

韓国
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ジョングァはアレンジの幅が広く、
K-デザートの新たな楽しみ方としてZ世代に浸透

ハルメニアルブームを背景に、昔ながらの文化に関心を寄せるようになった韓国のZ世代が、伝統茶屋へと足を運ぶようになっている。その中で、お茶請けとして供される伝統菓子「정과:ジョングァ」(金柑、レンコン、トラジ(桔梗の根)などを砂糖や蜂蜜で煮込み、軽く乾燥させたもの)が、新たなトレンドとして浮上している。特に人気を集めているのは、金柑やミカンを用いたジョングァであり、その透き通るような黄金色の美しさがSNS映えすると評判だ。インフルエンサーの中には、リンゴを薄くスライスしてバラの花のように見立てたものや、ミカンを丸ごと一つ使った斬新なジョングァを創作する動きも出ており、それが若者の「食べてみたい」「作ってみたい」という意欲を刺激している。ジョングァは、その多様なアレンジメントの可能性から、新たなKデザートとして幅広い楽しみ方を提供していると言える。

歴史ある鍾路区、仁寺洞の喧騒から少し離れた耕仁美術館の一角に佇む「耕仁美術館 伝統茶院」は、韓屋造りの趣ある空間に伝統的な家具や骨董品が飾られ、その風情が人気を集めている。このような落ち着いた雰囲気の中で味わう、古き良き伝統菓子としてのジョングァが、特に話題となっている。20代の女性からは、「ストレスを感じた時にコーヒーと一緒に食べたくなる」「動画を見て作ってみたけれど、すごく時間がかかった。でも、また作ってみたい」「昔からあったのに知らなくて、新鮮に感じる」といった声が聞かれ、その魅力がZ世代に浸透し始めている。

ASMR動画や創作ジョングァなどSNSによる
影響が大きく、今後も注目のスイーツ

ジョングァは、古くは高貴な身分の人々の宴や祝いの席で、韓国伝統茶と共に供されてきた歴史を持つ。同じ伝統茶菓子である薬菓(ヤッカ)が、現在ではマートで容易に入手できるのに対し、ジョングァは品質管理の難しさからマートでの取り扱いは限られている。そのため、Z世代の中にはジョングァの存在を知らない者も少なく、それがかえって新しいKデザートとしての新鮮な印象を与えていると考えられる。

韓国では、昼食後にカフェでコーヒーを飲んだり、テイクアウトして職場や学校で楽しむ文化が根付いている。昼休みのカフェ巡りは、日常的な楽しみの一つとなっている。そうした流れの中で、伝統茶屋も新たな選択肢として注目されるようになり、菊茶やオミジャ茶、生姜茶といった伝統茶と共に、しっかりと用意されているコーヒーと共に供される茶菓子がジョンガである。初めて目にするその美しい見た目に興味を持ち、一口食べるとその美味しさに魅了される。ASMR動画で紹介される、シャクッという独特の食感も、若者の関心を引く要因となっている。マートで手軽に入手できないジョングァは、「作ってみよう」というDIY意欲を刺激し、動画サイトには自作に挑戦するZ世代の投稿も増えている。リンゴやクルミ、ミカンを丸ごと使うなど、ジョングァの種類も多様化しており、今後の展開が期待される。将来的には、薬菓のようにクロワッサンやドリンクなどとの斬新なアレンジが生まれたり、全く新しい発想のジョングァが登場する可能性も秘めており、その進化が注目されるKデザートであると言えるだろう。