伝統的な民族衣装を日常に取り入れ
ファッションを楽しむ若者が増加傾向
2025年のインドの若者ファッションでは、「伝統」と「モダン」の融合が強くトレンドとして現れている。元々最近の若者は、普段着としてTシャツやジーンズなどの洋服を日常的に取り入れているが、そこにクルタ(インドの伝統的な長めのトップス)やサリーにモダンアクセサリーの組み合わせなど、ハイブリッドな装いを楽しむ傾向がある。伝統的な刺繍や布などを使用したモダンなトップス、シャツ、ワンピースが人気で、サリー×スニーカーや、チュニック×ベルトといったスタイルも都市部で多く見られている。
コルカタを拠点とするサステナブルファッションブランド「145 East」は、伝統的な織物「ガムチャ(※)」を用いたサリーやワンピース、シャツやドーティーパンツ(INR5,000~10,000前後が中心)を展開、伝統的な素材をモダンに変えた。伝統的な要素を尊重しつつ、現代的な感性を取り入れた多様なスタイルが注目である。伝統的な男性のクルタ(シャツ)を、ジーンズと合わせるスタイルが若者の間では、重苦しくない正装として定着している。
※ガムチャとは、ベンガル州周辺の伝統的な織物で柔らかく吸収性が高い。肌に優しいため風呂用のタオルや男性の腰巻、日常の布巾的な使い方もしている身近な布。
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若年層のサステナブル意識や自己表現により
ファッションに洗練されたスタイルが登場
若者たちは、グローバル化された世界で育ちながらも、自分の伝統を誇りに思う傾向が強まっており、インドらしさを残しながらも、現代的に洗練されたスタイルの欲求がファッションにも表れているといえる。
環境意識の高まりにより、「ファストファッション」よりもハンドメイドやオーガニック素材が増加し、「職人技術や伝統文化を支援したい」という思いがファッションを通してクールだと捉えられ始めた。また、SNSでファッションインフルエンサーやストリートスタイルの投稿が拡散されやすくなり、個性的な着こなしが注目を集めるようになった。民族衣装を自分らしくアレンジしたスタイルが「映える」ため、SNSでの人気が加速した。性別のルールや規則などに捕らわれない自由な発想が、ユニセックススタイルであるドーティーパンツやブロックプリントのメンズシャツなどを生み出した。このトレンドは単なる「見た目の流行」ではなく、自身の価値観や自由な表現、拘りを反映したインドの若者ならではの潮流であることが考えられる。




