アート熱が高まるバンコク
入館料無料で気軽に立ち寄る若者が増加
アートギャラリーが友人や恋人とのおでかけスポットとして10⁻20代の若者を中心に人気となっている。バンコク中心部に2009年オープンの「Bangkok Art and Culture Center(BACC)」は、国内アーティストの作品を中心にさまざまな展示会を常時開催している。円形の内部は中心が吹き抜けで、地階から6階は壁に沿ってアート作品が展示され、7⁻9階がメインギャラリーとなっている。カフェや書店、雑貨店、絵画教室も入居。Z世代のトレンド発信地サイアムエリア内にあり、入館料無料で気軽に立ち寄る若者が多い。
チャオプラヤ川沿いの「RIVER CITY」は、骨董品や絵画の店舗が多く入ったアートスポットとして知られる。2023年7⁻9月に中国「POP MART」のキャラクターとして人気の「CRY BABY」の展示会が実施され、多くの人で賑わった。その後もポップアートの小規模展示会やタイの若手アーティストの個展を多数実施している。このほか近年若者に人気の旧市街エリアには、モダンアートを紹介する小さなアートギャラリーが複数あり、通りにはウォールアートも点在している。2025年5月にバンコク王宮広場では、アメリカの現代アーティスト「KAWS(カウズ)」による大規模な展示・体験型アートプロジェクト「KAWS: HOLIDAY THAILANDKAWS」が実施されるなどアート熱が高まっている。
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ゆったり・リラックスできる癒しの空間
アートを体感し、SNSへ積極的に投稿
これまでアートギャラリーやアート作品の展示会は、若者の話題に上ることがほとんどなかった。しかし、「BACC」や「RIVER CITY」を訪れると、4-5年前に比べ、明らかに若者を中心に訪問者が増えていると感じる。10代の女子中学生が友人同士で訪れたり、女子大学生がデートの時に訪れるなどといった話が聞かれる。InstagramやTikTok、Lemon8には、「BACC」を始めとするアートギャラリー訪問の投稿が多数見られる。
アートに触れる場所は、ゆったり・リラックスできる癒しの空間と捉えられており、タイ語でおしゃれ・かっこいいを意味する、”チックチック”やゆったり・リラックスした様子を意味する”チルチル”といった言葉で表現されている。アートセンターやアート展示会は基本的に無料で学生でも気軽に訪問できる。また、館内は写真撮影も可能なところが多い。アート作品の写真を投稿することで、ハイセンスなイメージに加え、友人などとのコミュニケーションも活発になりやすい。また、アートセンターやギャラリー周辺には、アート作品だけではなく、大型モールには見られない小さなこだわりのカフェや雑貨店があり、週末のおでかけに適している。






