ローカルが経営する
“おひとり様”でも楽しめる中国居酒屋
「浮生酒館」「三酉小館」「咬金」「虫二酒肆」など、ここ1年ほどで上海市内にご当地料理を提供する居酒屋、小料理屋、一杯飲み屋スタイルの飲食店が増加中だ。日本資本は入っておらず、経営はローカルの中国人。紹興酒、中華カクテルなどのドリンクメニューと枝豆の中国酒漬け、鴨ホルモンの炒めもの、紅焼肉(豚バラ煮込み)などのご当地料理を一人前の小皿で提供する。
「浮生酒館」はコワーキングスペースの地下にあり、上海人の夫婦が個人で経営している。コワーキングスペースでの仕事を終えたノマドワーカーたちが食事やお酒を楽しむ光景をよく目にする。週末は満席になるほどの人気だ。1人当たりの予算は150元(約2,400円)前後。
日本のドラマ『孤独のグルメ』『深夜食堂』から
個食文化に注目集まる
2~3年ほど前、中国では日本のドラマ『孤独のグルメ』『深夜食堂』が大ブームになった。『深夜食堂』は中国でリメイクされ、映画化もされている。また、『孤独のグルメ』は作者の久住昌之氏のライブが満席になるほど社会現象になった(日本の個食文化の新鮮さが支持された)。
上海にも1人でふらっと飲みに立ち寄れる日本人経営の日本式の居酒屋は無数にあるが、紹興酒や上海人に馴染み深い酒肴を提供する店はなかった。一方で紹興酒などを揃えているレストランは大人数向けで、1人で立ち寄ることはできない。「1人でお酒を飲みながら馴染みの味を」と考える人のニーズに応える飲食店が登場し、人気店となってきている。
20〜30代の若い起業家、フリーランサーが増え、仕事帰りに大人数で食事に行くというライフスタイルから“おひとり様”で食事することが珍しくなくなってきていることも人気の背景として挙げられる。