アジアトレンドMTG

第5回アジアトレンドラボMTG【報告レポート】

インドネシア
facebookでシェア
Twitterでツイート
Loading

 

2019年4月22日、トレンドラボメンバー限定で「第5回アジアトレンドラボMTG」を神楽坂で開催しました。国内外でビジネス展開、またはご検討をされているトレンドラボ会員の方にお集まりいただきました。今回は先日のイベントの様子をお届けします。

【概要】

日時:2019年4月22日(月)

会場:古民家を使ったサロンスペース「MAISON DE TSUYUKI

テーマ:『インドネシア・タイの「ミレニアル世代」の現状とこれから』

・インドネシアのミレニアル世代について

・タイのミレニアル世代について(家庭訪問映像を交えて)

 

1のコピー

インドネシア・タイのミレニアル世代を
定量・定性情報で読み解く

世界人口のうち、約25憶人を占め、5年後には消費の中心となる「ミレニアル世代」。欧米のミレニアル世代については多くの研究がされていますが、アジアの若者達はどのようなトレンドに触れ、何を考えて消費をしているのでしょうか。

そこで、今回はインドネシア・タイに住むミレニアル世代の「現状」と「これから」に焦点を当て、株式会社インテージから西日本支社 未来共創センター センター長の濱 賢太郎氏を招き、「Asia Mobile Panel」を利用した定量情報と、アジアトレンドラボの定性情報をもとに、ミレニアル世代の価値観を読み解きました。

 

【インドネシアのミレニアル世代のポイント】

「人」「食」「仕事」「理想」のカテゴリにおいて、以下がインドネシアのミレニアル世代のポイントになります。

 

「人」:仕事より家族を優先することが多い

親世代と比べ兄弟の数は少なく、核家族で暮らしているケースが多いミレニアルズ。精神的、経済的にも親に頼る傾向があり、家族や友人といった自分の周りのコミュニティや繋がりを重視している。

 

「食:外食は「インスタ映え」」が大事。内食は、フードデリバリーを利用し時間短縮

外食は日本の若者と同様に“インスタ映え“を重視、インスタグラムでリサーチし、文字情報ではなく、ビジュアルで直感的に食べたいものを判断するため、情報伝達が文字媒体から画像媒体に移りつつある。フードデリバリーサービスもインフラとして浸透。モバイルアプリを使うことでリーズナブルな値段で様々なものがオーダー出来、料理手間もかからないことから外に出て食事をするよりも機会が増えている。

 

「仕事」:自分のエッセンスを仕事にプラス、ワークライフバランス重視で仕事選び

親元で家業を継ぐべく社会経験を積んでいる人が多く、家業をそのまま継ぐのではなく、自分のエッセンスやデジタルテクノロジーを加えより良いビジネスを始めたいと考えている。家業が時代にそぐわないものであれば、時代に合うようにカスタマイズしていく勇気や努力を惜しまないアグレッシブさも持ち合わせている。また、ワークライフバランスを重要視し、時間を有効的に活用できるような仕事が理想と考えている。

 

「理想」:楽しく充実した毎日の空き時間に仕事をする、仕事のために無理をしない。

独身者の場合、楽しく充実した毎日の空き時間に仕事をすることが理想。ある程度自由な時間を確保できる独身のうちに数多くの経験をしたいと考える。結婚している夫婦の場合は、仕事はあくまで生活のためで、残業や仕事を持ち帰るようなことは極力せず、夫婦の時間を大事にする。出かけることよりも、家の中を快適にすることに時間を費やす。

 

3のコピー

 

【ピックアップ】

「食」:広がるフードデリバリーサービス

イベント内でも取り上げたトレンドを一つ紹介致します。

近年日本でも知名度を広げつつある、モバイルアプリを使ったフードデリバリーサービス。前回のトレンドラボMTGでもその名が上がりましたが、インドネシアでの広がりは特に顕著で、生活を支えるインフラとなりつつあります。現在、インドネシアのフードデリバリーサービスは、「GoFood」と「GrabFood」の二強状態となっており、共通点はどちらもタクシーやバイクタクシーの配車アプリから始まった企業で、インドネシアの社会問題でもある交通渋滞を回避できるため、忙しいビジネスパーソンや学生などから広がり、今では幅広い層に支持されているサービスです。「Go-jek」は様々な分野のデリバリーサービスを展開しており、現在ではモバイル決済サービスの「GoPay」やマッサージ師を派遣する「GoMassage」などを展開し、今後も新たな広がりを見せてくれることでしょう。

 

インドネシアの有名司会者Daniel Mananta氏が出演する、日常生活で「Go-jek」を活用するイメージ動画

 

 

【タイのミレニアル世代のポイント】

タイも同様に、「人」「食」「仕事」「理想」のカテゴリにおけるミレニアル世代のポイントを紹介いたします。

 

「人」:仏教国の宗教観が、家族感へ反映されている。

バンコク出身者の多くは家族と同居。生活費を節約するためや、親に寂しい思いをさせたくないといった理由から、あえて一人暮らしを選ぶことはない。また、30代でも既婚は3割程度にとどまり、晩婚化が進んでいる。

 

「食」:外食(ヘルシー)中食(時短)共に日本食が人気。食とデジタルの融合、フードデリバリーや行列アプリ

外食時は、必ず写真を撮って、SNSに投稿するという人が多いため、フォトジェニックな食事に引き寄せられる傾向にある。社会人は仕事中の間食が多いのが特徴、フードデリバリーサービスを利用したり、コンビニでおにぎりやサンドイッチなどを購入する。タイ発の行列アプリ、「QueQ(キュウキュウ)」は行列に並ぶことなくアプリで順番待ちが出来るため、時間を効率的に使いたいミレニアルズには必須。

 

「仕事」:スタートアップ企業を目指す、より良い環境を求め簡単に転職する傾向

タイでは若い世代がスタートさせたITを活用した新たなサービスが続々と登場しており、仲間や友達同士で得意分野を持ち寄って、チームで事業をスタートするスタイルがミレニアルズに人気。ミレニアルズは上の世代と比べ、職場に不満や物足りなさを感じると、より良い環境を求めてすぐに転職する傾向にある。

 

「理想」:自分の時間が欲しい、しかし将来のために今は仕事学習に集中

独身者、既婚者ともに、仕事が忙しく親や配偶者と過ごす時間が限られており、ワークライフバランスが取れていない。金銭面や社会的地位の面での安定した将来と引き換えに、今は仕事や学習に集中したほうが良いと考える。

 

5のコピー

 

 

【ピックアップ】 タイのミレニアルに直撃インタビュー

MTGの最後には、タイ・バンコクに住むミレニアル世代ど真ん中、26歳のパオさん(仮名)への家庭訪問映像を通して、さらにミレニアル世代への理解を深めていただきました。今回はその一部を抜粋して紹介いたします。

平日はバンコクに住み、営業マンとして働き、休日は郊外の実家に戻って余暇を過ごすという彼。一番の関心は仕事をすることで、体を鍛えることも好きだという。健康にも気を使い始め、炭酸飲料や揚げ物などは極力摂らないようにしており、空いた時間はジムで体を鍛えたり、趣味のオンラインゲームに費やしたりしています。スキューバダイビングのライセンスを取得しており、長い休暇の際にはマレーシアやタイなど海外旅行へ行き、ダイビングをするそうです。私生活では、スマートフォンはなくてはならないもので、商品の発送や受け取りをアプリ上で行える「Lalamove」やプロテインの購入や運動管理をする専用アプリ「Fitwhey」を良く利用しています。

家庭訪問映像を通して、日本にいながらも現地の若者の雰囲気を感じることができたのではないでしょうか。

6のコピー

 

まとめ

今回のアジアトレンドラボでは、インドネシアとタイにおけるミレニアル世代の「現状」と「これから」を、定量・定性情報を踏まえ、2023年のペルソナ像や、実際の若者の映像を交えながら紹介しました。ミレニアル世代の消費動向や家族観、仕事観、理想の将来について知ることは、近い未来のトレンドをいち早くキャッチ・作り出す大きなヒントとなるでしょう。

TNCアジアトレンドラボでは、時代に合わせて目まぐるしく変化を遂げるアジアの現地トレンドを、今後もスピード感を持ってお伝えしていきます。今後もこのようなイベントやセミナーなどを実施していく予定です。日本にいながら現地トレンドを肌で感じていただき、商品開発や新サービス開発などのヒントとなる良い機会になればと考えております。皆様のご参加をぜひお待ちしております。

7のコピー

イベント終了後の懇談会では、「MAISON DE TSUYUKI」の女将、村上による手料理とインドネシアとタイのビール、ビンタンとシンハーで乾杯。