高級寝台バス「Giant Ibis」の
人気が高まる
首都プノンペンと観光地シェムリアップをつなぐ寝台バスの平均運賃は片道10ドル~12ドル(約1,096円~1,316円)程度である。その中で、「Giant Ibis」(ジャイアント・アイビス)は、片道15ドル(約1,645円)と相場より高級であるが、車両が新しく、清潔感があることから人気が高まっている。予約はGiant Ibisの市内オフィスまたはウェブサイト(手数料1ドル/約109円)からでき、事前の座席指定も可能である。座席は2人用と1人用の2種類で、それぞれ上下2段のベッドになっており、各ベッドには枕とブランケットが用意されている。寝台バスではあるが車掌が乗車しており、入り口でチケットの確認、靴を入れる袋と水の配布、到着予定時刻の案内などがある。トイレも車内にあり、無料Wi-Fiとスマホ充電用のプラグが備わっている。2018年に国道6号線が完全に舗装されてからは、所要時間も1時間ほど短縮され、片道の所要時間は約5時間ほどだ。人によってはぐっすり眠れるとは言い難いが、5時間座ったままヤシの木を見ながら移動するよりは快適であるということから、利用者は増えている。
地雷除去後の穴だらけだった道路が整備され
陸路の移動手段が確立された
10数年前までカンボジア国内において、プノンペンとシェムリアップ間の移動は、片道50~100ドル(5,485円~10,968円)程と高価だが安全な空路か、片道5ドル(約548円)程と安価だが時間がかかり、ボートの故障が多発し、盗賊が出没するなど安全面に問題のある水路の2択のみだった。陸路は国道でさえ、地雷の痕で穴だらけであったからだ。2002年頃から国道が舗装され始め、民間のバス会社が定期運行を開始。値段は片道10ドル(約1,096円)程度であったが、エアコンの効いた車内で移動ができるとあって、カンボジア人にも人気は高かった。当初は多かったバスの故障や事故も徐々に減り、ドライバーの2名体制や水・軽食の配布など、各会社間でサービスの向上を図ってきたおかげで、移動といえば陸路という図式が定着した。2014年には寝台バスの運行も開始。当初の寝台バスの利用者は外国人旅行者がほとんどだったが、安全面での安心感もあり近年ではカンボジア人ファミリーの利用も増加している。