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バングラデシュ発!サステナブル素材“ジュート”が若者ファッションに浸透

バングラデシュ
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国際ブランドがデザインにジュートを採用
Z世代を中心にエシカルな素材として再評価

2023年以降、バングラデシュ伝統の黄麻(こうま)から作られる繊維「ジュート」が、Z世代を中心に国内外で再評価されている。若手デザイナーや女性起業家がバッグやアクセサリー、衣服などにジュートを取り入れ、スタイリッシュな日常アイテムとして商品を展開。特に人気が高いバッグは約1,000BDT、小物は約20BDTほどの価格帯で多様なブランドから販売されている。こうしたジュート製品は、ブランドのほかにもインフルエンサーによるTikTokやInstagramなどのSNSを通じて発信され、「エコでローカルでオーガニック」というジュートの特性がZ世代の個性を重視する感性やサステナビリティ志向に合致し、浸透している。

2024年3月には「ジュート製品フェア2024」が開催され、女性起業家によるエシカル商品を300点以上展示し、約8,000人が来場。また同年4月に開催された「国際ジュート&ハンディクラフト見本市2024」では250以上の出展者が集い、来場者は2万5,000人を超えた。国内のみならず、海外でもデザイナーのステラ・マッカートニーやヴィヴィアン・ウエストウッドH&MZARAなどの国際ブランドがデザインにジュートを採用するなど、素材の実用性と共にフェアトレードや地域経済を支えるエシカルな素材として注目しており、次世代のファッションを象徴するマテリアルとして新たな地位を築きつつある。

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20代女性は「バングラデシュにとってジュートは伝統的な存在。これまでは、ジュート製品というと村落で使う印象だったけど、おしゃれなバッグが増え、伝統的なものをトレンドのアイテムとして取り入れることができるのは嬉しい」と話している。

ジュート関連輸出額は増加傾向に
環境負荷の少ない素材として注目

ジュート産業は1990年代以降、合成繊維の普及と輸出競争力の低下によって縮小傾向にあった。しかし気候変動やプラスチック規制の広がりやエコ素材に対する関心の高まりを背景に、2017年にバングラデシュ政府はジュート工場の生産技術を向上させるプロジェクトを実施。ジュート関連輸出額は2017~18年度に10億ドルを超え、2020~21年度には11億6,000万ドルと過去10年以上で最高額を記録した。ジュート輸出額のうち製品化したものが全体の大半を占め、原料ジュートは1〜2割程度に留まっている。

ジュートのサステナビリティは国外からも注目されており、H&Mはジュートを環境負荷の少ない素材の一つとして「Preferred Materials(優先素材)」に含めて使用するなどグローバル市場への浸透を促進している。