都市部の若者を中心に
Pi pay利用者が急増中
電子決済サービス「Pi pay」(パイペイ)は、2017年5月のローンチ以降、若者を中心に絶好調の伸びを示している。専用アプリをスマホにダウンロードし、氏名、生年月日、性別、電話番号を登録し、市内にあるキャッシュマシーンにてアプリへの入金を行うことで、使用可能となる。店頭で利用するときは、アプリでQRコードを読み取るか、電話番号とパスワードを専用マシンに入力する。利用者への割引を前面に押し出してユーザーの囲い込みを計っており、現在のユーザーは16万人以上、提携店舗は2,000店以上、決済総額は2,700万ドル以上と順調に伸びている。Pi payのパイは円周率を意味しており、それにちなんで2019年の3月14日には、プノンペンのイオンモールにて「パイペイデイ」と銘打ち31,4%オフのセールを行い、大盛況となった。現在は都市部での利用が主であるが、今後は地方への拡大も期待される。
銀行への不信感から
今後もキャッシュレス化が急速に進む予想
カンボジアは元々市場での流通通貨が、カンボジア通貨のリエルよりも米ドルの方が強いという環境があり(1ドル=約4,000リエル)、また銀行への信頼度が低く口座費用も掛かるため、銀行口座の開設はそれほど浸透していなかった。そこで台頭してきたのが電子決済サービスだ。Pi payはキャッシュレス化の最先端として利用拡大を進めており、2018年には中国の「Alipay(アリペイ)」と提携した。これにより多くの中国人観光客の利用が見込めると同時に、売上やコスト履歴をデータ化し、オンライン融資などのサービスが開始される可能性も高まる。また、今後は公共料金の支払いや送金が可能なカンボジアの大手決済システム「Wing」とも提携をはかるのではと言われている。現金社会の下地が弱いだけに、カンボジアでのキャッシュレス化は思いの外早く進んでいる。