コーヒー派・お茶派双方の支持を得る「茶咖」
多様なフレーバーが人気店から続々と登場
コーヒーでも同様の動きがみられるが、「中国文化」と「他国文化」が融合したケースが増えている。中国飲料業界ではチーズミルクティーやタピオカミルクティーなど世界的なヒットドリンクが誕生している中、「茶咖」と呼ばれる「コーヒー+お茶」飲料がトレンドの兆しを見せている。アメリカンコーヒーでの「水」が「お茶」になっているようなドリンクだ。茶咖で人気のお茶はさわやか系のお茶で、ジャスミン茶や烏龍茶、クチナシ茶などが使用されている。これらのお茶を加えることで、コーヒーの濃さを薄めたドリンクが続々と発売されている。
2012年に上海で誕生し、国内で最初のスペシャリティコーヒーブランドといわれている「Seesaw Coffee」から、「山茶茉莉花拿铁(ツバキジャスミンラテ)」35元(約670円)、「桅子花梨香拿铁(クチナシシタンラテ)」38元(約730円)などが販売されている。若者文化の発信の地、成都にあるドリンク店「加飲Plus In」では、「成都鸳鸯拿铁(ジャスミン茶をベースにしたラテ)」28元(約535円)が、1日に300杯を売上げるなど、茶咖ドリンクは売上全体の50%強で、月間売上は45万元(約862万円)だという。
2022年の春にStarbucksが「山茶花拿铁(カメリアラテ)」を販売したことで注目を集めはじめた。コーヒー+お茶のハイブリッド型の茶咖はコーヒー派とお茶派の双方だけでなく、コーヒーやお茶が苦手といった消費者からも、一定の支持を得ている。
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コーヒー文化元年と呼ばれる2022年
お茶=養生のイメージが若者の間で根付く
中国の若者の間では、「お茶=養生」や「コーヒー=命の水(仕事をするためのカンフル剤的なもの)」と捉えられている。「早C晩A(CはCoffeeの頭文字、AはAlcoholの頭文字で、朝はコーヒーで目を覚まし、夜はアルコールで睡眠を促進する)」という概念も生まれている。2022年は中国にコーヒー文化が根付き、中国の「コーヒー文化元年」と呼ばれている。そんな中国飲料業界が、新たに考案し推進しているが「午T」(TはTeaの頭文字、午後はお茶で養生を)。お茶よりのテイストに寄せた茶咖は、自国ブランド見直しの動きがある中国で、コーヒーをより中国人の好みへと進化させたドリンクといえる。