貧困女性と子どもたちを救いたい
水流早貴氏が立ち上げたサービスとは?
インドのスラム街の女性をメイドとして育成し、富裕層家庭にメイドとして「日本クオリティ」のサービスを提供することで、女性の自立支援を行っている「SAKURA Home Service」に注目が集まっている。日本人の水流早貴氏が立ち上げ、2019年9月にグルガオンで開始したサービスだ。
水流氏は、学生時代にインド農村部で貧しい子供たちに出会い、「恵まれない環境に生まれただけで、やりたいことや夢を叶えられないのはなぜだろう」と感じたことがきっかけで、貧困問題に関心を持つようになった。スラム女性の経済的・精神的な自立を促し、その子どもたちに教育の機会を与える事ができる事業を目指している。スタッフに対して入念な教育や丁寧なコミュニケーションを行い、スタッフたちは精神的自立に加え、自発性が生まれるほど、めざましい成長を遂げている。
サービスも高度なハウスクリーニングとホスピタリティで利用者の評価が高く、 「部屋がきれいになって室内の空気も良くなり、空気洗浄機をつける必要がなくなった」などの声があり、顧客満足度は98%を誇っている。2020年9月現在、メイドスタッフ5名を雇用し、これまでの累計では10名のスラム女性の自立支援を行った。今後も女性自立支援の成功ビジネスモデルを確立し、貧困から脱出できる社会を目指している。
クラウンドファンディングで
金銭や物資の支援活動も行う
インドでは、地方農村部に仕事がないため、多くの貧困層が出稼ぎ労働者として、デリーやムンバイなどの都市部に出てきて、スラムでの生活を強いられている。親世代は教育の重要性を認識してはいるもの、不安定な雇用状況で子どもを学校に通わせられない事も多い。そのため、教育を受けられず育った子どももまた、親と同じように貧困から抜け出せなくなるという負のスパイラルが起こっている。
スラム女性をメイドへ育成し、富裕層家庭へ派遣する事業を興した水流早貴氏は、スラムで出会った女性たちが「自分はスラムで一生を終えてもいいけど、子どもにはこんな思いをさせたくない」と涙ながらに語ってくれたことが忘れられず、女性自立支援のための事業を行うことを決めた。COVID-19により不安定な社会情勢ながら、スラム女性のため安定した雇用を継続している。
また、インドの貧困問題が悪化するなか、クラウドファンディングを活用して528世帯、1,769名に金銭及び物資の支援活動を行っており、水流氏の活動に対して、多くの起業家やメディアから期待が寄せられている。