食・飲料

Z世代の価値観であるヘルシープレジャーが消費トレンドを牽引/韓国で急成長する「ゼロシュガー市場」

韓国
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ゼロシュガー市場を牽引するLOTTE
WELLFOODの無糖類ブランド「ZERO」

韓国において、糖類やカロリーを抑えた「ゼロ」商品がZ世代を中心に市場を席巻している。この潮流を象徴するのが、LOTTE WELLFOODの無糖類ブランド「ZERO」(代表的なものとして、제로 초콜릿칩 쿠키/ゼロチョコレートチップクッキー 4,980ウォン、約528円/12枚入り)である。LOTTE WELLFOOD「ZERO」は、砂糖に比べ血糖値の上昇が緩やかとされるエリスリトールやマルチトールを使用。これが健康意識の高い消費者の具体的なニーズに応え、成功の要因となった。2022年の立ち上げ以降、毎年目標を上回る売上を記録し、2025年初頭には累計売上1,000億ウォン(約106億円)を突破。当初の菓子類からグミ、氷菓子へと商品群を拡大し、市場の牽引役となっている。

Z世代高校生へのヒアリングでは「罪悪感なく楽しめるためゼロ商品を選ぶ」「多少高くても健康価値を優先する」といった声が聞かれ、これは単なる我慢のダイエットではなく、楽しみながら健康を維持する「ヘルシープレジャー」という価値観の表れである。特にかつての「タンフル(フルーツ飴)」ブームによって糖分の過剰摂取への警戒感が高まったことも、Z世代を再び「ゼロ」という付加価値を持った甘い商品の世界へと呼び込む一因となった。

ゼロ飲料市場は5年間で約7.8倍にまで拡大
表示規制による消費動向が今後の注目ポイント

「ゼロ」市場の急成長の土台には、生活習慣病への懸念など、韓国社会全体の健康志向の高まりがある。糖分摂取への否定的なイメージが広がる一方で、「無糖」や「無糖類」という表示は肯定的に受け入れられており、これが市場拡大の素地となった。ユーロモニターによれば、国内のゼロ飲料市場は2018年から2023年の5年間で約7.8倍にまで拡大している。企業の開発戦略も高度化している。一方で、人工甘味料への潜在的な抵抗感が完全に払拭されたわけではなく、「砂糖よりは良いだろう」というトレードオフの関係で選択されている側面も窺える。今後の注目点は、韓国食品医薬品安全処による表示規制の変更だ。2026年からは「ゼロ」表示商品に甘味料含有の旨とカロリー情報の併記が義務化されるため、この変更が消費者の購買行動にどう影響するか、その動向が注視される。