エコロジー 乗り物

緑化&スマート化が国際的な評価を得る!「トトロのトンネル」を走る高雄のライトレール

台湾
facebookでシェア
Twitterでツイート
Loading

2023年末に全面開通した高雄市を走るLRT
全線架線がなく、軌道敷の80%を緑化

高雄市を環状線状に走る「高雄環状軽軌(LRT:ライトレール)」は、現在全31駅、全長17.1㎞で、全線架線がないのが特徴で、軌道敷の80%が緑化されている。乗車運賃は、5キロ以内20元~2キロごとに5元増しで最高で35元、交通系ICカード等の使用で割引がある。2022年10月に開通した区間(C20美術館駅とC21A 内惟藝術中心駅区間)は、トトロのトンネル「龍貓隧道」と呼ばれ、多くの人が写真を撮りに訪れる一大観光スポットとなっている。


2023年には高雄市地下鉄(MRT)橋頭駅の駅長猫をモチーフとしたラッピング車両「蜜柑號(みかん号)」も登場し、話題となった。C21A內惟藝術中心駅から徒歩でアクセス可能な場所には、高雄の新ランドマーク「內惟藝術中心」アートセンターもオープン。高雄市美術館の西側にあり、高雄市美術館、高雄歴史博物館、高雄電影館(映画館)が共同運営している新形態の芸術文化体験型のアートセンターで、その設計は高雄展覧館、高雄市立図書館総館などを設計した劉培森建築師事務所による。館内は一階のみで、主に展示エリアや映画館、カフェ、修復センターに分かれており、芸術作品や触れて体験できるインタラクティブな芸術装置など、內惟エリアの歴史文化等に関する様々な展示がある。高雄環状軽軌は、高雄市内の観光スポットである高雄流行音楽センター、駁二芸術特区、高雄市立美術館などにも駅があり、観光に便利な交通手段。2023年末に全面開通した。

持続可能な都市を目指す高雄市の取り組み
住民だけでなく観光客も利用しやすい路線

高雄市は人口約274万人の都市で、市中心部に人口が密集しており、市民の主な交通手段はバイクとなっている。持続可能な都市を目指す高雄市の取り組みとして、高雄市政府捷運工程局により、高雄環状軽軌の建設は2001年から進められてきた。2022年APECにおける「Energy Smart Communities Initiative(ESCI)」最優秀実践賞プログラムで、高雄市政府チームの「高雄のグリーントランスフォーメーション:重工業から半導体クラスターへの転換、ロードマップのローカーボンへの道」がローカーボンモデルタウン金賞を受賞。捷運(MRT)や輕軌(LRT)、バス、フェリー、公共自転車、シェア電動車等を統合した交通サービスの「高雄MeNGo計畫」は、スマート運輸項目で銀賞を受賞。高雄環状軽軌はバスより揺れがなく、段差もないため高齢者やベビーカーの親子連れにも乗降しやすく、好評を得ている。遅い時間の試運転も開始し、高雄の主要観光地を通る路線としてインバウンドにも寄与している。