アプリ「Grab Food」内で
貧しい子供たちへの食事の寄付を開始
配車サービス大手「Grab Thailand」は、2020年9月初めフードデリバリーアプリ「Grab Food」上に「栄養不足(ทุพโภชนา)」という名前のバーチャルストアをオープンし、貧しい子どもたちへの食事の寄付を始めた。これは、Grab Thailandのプロジェクト「Grab Loves Thais(タイ人助け合い)」の一環で、タイの教育基金の一つ「Equitable Education Fund」と協力し、貧しく日々の食事もままならない子どもたちの支援プロジェクト「Grab Loves Children」として実施しているものだ。
利用者はアプリ上から「栄養不足」を選び、食事のイメージ写真から寄付金額を選び、支払う。寄付金は基金を経て、栄養的な食事となって子どもたちへ届けられる。
タイではCOVID-19により経済的に影響を受けた人々を支援する空気が広がってきており、経済弱者への支援プロジェクトは社会的にも好感度が高く、受け入れられている。
観光業不振で行き場のない果物を
「Grab Mart」で販売
COVID-19が経済に深刻な影響を与え続けている中、Grab Thailandは社会支援のプロジェクトをいくつか打ち出した。Grab Loves Thaisでは、貧しい子どもの支援のほかに、ローカルレストランの支援やパートナーであるドライバーへの援助も実施。そのほか、2020年5~7月には農業協同省と協力し、国内外の観光客不足で余っていたマンゴーやライチを地方の果物農家から買い取り、買い物代行サービス「GrabMart」で販売した。この取り組みは、農家だけではなく利用者からも歓迎された。
タイでは、COVID-19のような災いを「業(過去の行いにより現世や来世にもたらされる悪い因果:กรรม)」と捉え、寄付や支援といった善行を積むことで洗い流すことができるという仏教観を持つ人もいる。互いに支援し合うことで乗り切ろうというムードが国全体にある中、日常的に利用するアプリを通じて社会的な支援ができるツールは、今後も広がる可能性がある。