こだわりの食材や食べ方を提供するラーメン店が
先進的な和食として人気が高まっている
日本食の人気が高いタイのバンコクで、先進的な和食として”クラフトラーメン”の人気が高まっている。2022年3月にオープンした、日本人シェフによるラーメン店「No Name Noodle」は、完全予約制で1日35杯のみの提供。YouTubeなどで取り上げられ、タイ人の間で広まり、2024年6月現在でもなかなか予約が取れない人気店となっている。「Shio Tsuke Soba」(560バーツ)は、昆布水につけたコシのある麺を特製の塩スープで食べるつけ麺。従業員の丁寧な説明に従い、まずは昆布水で麺を楽しみ、次に粗塩、それから塩スープにつけ、さらにトッピングの柚子胡椒やチャーシューを添えるなどして、いろいろな味が楽しめる。カウンター席からは、シェフ自らが麺を茹でて丁寧に盛り付ける職人技を見ることができる。こうした一般的なラーメンや和食にはない食べ方や作られる過程を目にできるなど、ラーメンの”体験消費”が人気の背景にある。
2024年3月末、タイ人と日本人コンビの「The Slurp Brothers」によるラーメン店「Kataru」がオープン。シーズンごとに変わる3種類のメニューを提供。イクラとホタテ、エビが添えられ、温かいエビスープと冷たいナスのクリーミーなスープにつけて食べる「Shrimp and Japanese Eggplant Tsukemen」(890バーツ)など、独創的なメニューが楽しめる。週3日のみの営業で予約が困難だという。
このような日本の良質な食材を使い、麺とスープを手作りしている丁寧なクラフトラーメンが、トレンドに敏感なタイ人を惹きつけている。
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日本食がタイ人の生活に浸透する一方で
競争が激化する日本食レストラン
JETRO Thailandの発表(2024年1月 Manager Online)によると、2023年のタイ国内の日本食レストランの数は前年比8%増加の5,751店舗となった。2018年と比較すると店舗数は1.9倍に増えており、バンコク首都圏に加えて地方都市にも日本食レストランが増えている。しかし、増加の一途をたどる一方で、飲食店間の競争が激化していることから、店舗数が最も多い寿司店では減少傾向もみられる。タイでは普段の軽食や中食にコンビニや屋台でおにぎりや寿司を手にする人を目にすることが多く、日本食がタイ人の生活に浸透していると感じる。そのような中、オーソドックスな和食は既に特別感を失い、先進的なものやシェフのこだわり、日本の素材、新しい体験に関心が高まっているようだ。