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2016年アセアン・トレンドランキング ~インドネシア編~

インドネシア
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インドネシアの2016年は1月にジャカルタ中心部での爆破テロが発生、11月にジャカルタ市長を糾弾する大規模なデモが行われるなど、日本でも大きく報道された年でした。TNCアジアトレンドラボでは、昨年に引き続き、2億人超の人口を抱える巨大マーケットとしてインドネシアの生活者像を注視して、情報収集を行ってきました。今回のトレンドランキングでは、アセアンでもSNSへの接触時間が長く、多様な活用をする若者が多いインドネシアのランキングを紹介します。

 

 

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フード&ドリンクのデリバリー

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2015年のトレンドランキングで取り上げたバイクタクシー配車アプリ「GOJEK」が、インドネシアで急激にシェアを拡大しており、バイクによるデリバリーなどのサービスも充実・進化してきている。最近では、「身体に良いメニューを食べたい・飲みたい」という健康意識の高まりに応える、ヘルシーフードのデリバリーを展開する「Berry kitchen」が人気となっている。自宅や職場でも健康的な食事や美容効果のあるメニュー、カロリーや栄養バランスに配慮したメニューをデリバリーしてくれるという。調理済のメニューだけでなく、食材のデリバリーも行っており、クレジットカードで前払いもできるため、便利と好評で徐々に会員数を増やし、話題になっている。カロリーを抑えたインドネシアの伝統料理をはじめ、タイ料理、韓国料理、日本の弁当など、さまざまなメニューがあり、価格は22,000~60,000ルピア(約190~520円)前後。

トレンドの背景

年々深刻さを増す渋滞はインドネシアをはじめ、東南アジア各国で問題となっている。外食の機会が多いインドネシアでは、食事のためにわざわざ車を運転して出かけたくないと考える人も増えており、近年ではバイクやバイクタクシーによるデリバリーサービスはライフスタイルの一部として定着。話題の行列店にGOJEKのドライバーに並んでもらい、おつかいを頼むというケースも増えてきている。「Berry kichen」は、健康意識の高まりとデリバリービジネスが融合した、近年のインドネシアの変化を象徴するような新たなサービス。バイクタクシーを利用したデリバリーに特化し、店舗を持つ必要がないため、新たなビジネスを立ち上げやすくなってきている。

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遊びながら学べる「教育系4Dアプリ」

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インドネシアでも、タブレット端末やスマートフォンなどでゲームをすることが日常的になっている中、2016年は「Octaland 4D+」や「Dinosaur 4D+」などの4Dアプリのリリースが相次いだ。別売りのキャラクターカードを使用するものや、別売りの専用メガネを用いてVR(バーチャルリアリティ)の世界を体験するものなどに人気が集まっている。さらに、この技術を活用し、ゲームをしながら学ぶことができる「教育系4Dアプリ」が注目を集めており、この傾向は2017年も続くと思われる。2016年は、世界中で注目を集めた「Pokemon GO」も幅広い世代に人気があり、これをきっかけに普段歩かない人たちも公園やモールに繰り出すなどの光景が見られた。

トレンドの背景

4Dアプリは、子どもにとっても大人にとっても新しいもので、瞬く間に広がりを見せた。キャラクターカードや専用メガネは安いものだと1,000円以下で購入できることから、幅広い生活層に受け入れられた。また「教育系4Dアプリ」は教育熱心な親たちの関心を集めた。遊びながら学べるため、子どもの学習意欲も高まると好評で、使い方をわかりやすく解説した動画もYouTubeにアップされている。

個性派カフェがジャカルタ&郊外に続々オープン

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2015年頃から急激に店舗数が増えている個性派カフェ。ジャカルタ市内だけでなく、郊外にも小規模ながらカフェが増え続けている。話題になっているカフェの特徴としては、アチェやスマトラなど、インドネシア産のコーヒー豆を前面に押し出すカフェや、ドリップ方法にこだわるカフェが挙げられる。また、内装にこだわった落ち着いた雰囲気のカフェが次々登場し、WiFiはもちろん、客が自由に利用できるコンセントが完備されるなど、簡易オフィスやコワーキングスペースとしてカフェを利用する若者も増えている。「Kopi Manyar」や「Pigeonhole Coffee」などがよく知られている。

トレンドの背景

2015年に上映された「Filosofi Kopi」という映画の舞台として使われたカフェに倣うように、スタイリッシュなカフェが次々と増加していった。ジャカルタ郊外(ブカシ、タンゲランなど)が中間層~富裕層の居住エリアに当たることもあり、郊外にもそれらの人をターゲットにしたカフェが増えている。また、オフィスを持たない若者のビジネスや起業する場にもなっている。カフェの写真をFacebookやInstagramなどのSNSで投稿することも流行しており、カフェ情報の拡散にもつながっている。

若者のビジネス立ち上げの場としても広がるワークショップ

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2016年に入り、さまざまな物作りを体験できるワークショップが、各地で開催されている。ターゲットは主に20~30代の若者。絵画やクラフト、写真、料理、カリグラフィー(書き文字を美しくみせるための手法)など、幅広い分野のワークショップがある。さまざまなワークショップを提案する「MAUBELAJARAPAM」は、Instagramで積極的に情報を発信し、注目を集めた。ビジネスのHow Toを学ぶ座学型のワークショップや、インテリアとして注目を集めているテラリウムのワークショップなどが人気である。

トレンドの背景

自分だけのオリジナルアイテムやアイデアを発信したいと考える若者が増えており、技術やビジネスのHow Toを学べるワークショップにビジネスを立ち上げたい若者から人気となった。ワークショップを運営する人も、FacebookやInstagramなどのSNSで情報共有が容易になったことで、参加者の募集もしやすくなった。また、SNSで発信することができるため、実店舗を立ち上げる必要がなく、すぐにビジネスを立ち上げる若者も増えている。

ヘルシーでフォトジェニックなアーモンドミルク

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ジャカルタをはじめ、都市部のトレンドに敏感な層の中で、健康やダイエットへの意識が高まり、富裕層を中心に、ハリウッドセレブが取り入れているアーモンドミルクが流行している。価格は350mlで57,000ルピア(約500円)前後。健康やダイエットに気を遣ってアーモンドミルクを飲んでいるにも関わらず、プレーンではなく「アーモンドチョコレート」、「アーモンドコーヒー」などの、甘みが強いフレーバーが人気になっている。庶民の味として飲まれている豆乳や毎日の料理に使用されるココナッツミルクなど、インドネシアには以前から植物由来のミルクがあるが、これらは特に注目されておらず、「MYLKINC」や「DAMA」などのショップが展開する、フォトジェニックなボトル入りのアーモンドミルクがファッション的にトレンドになっている。

トレンドの背景

近年、富裕層の間で、健康的なハリウッドセレブへの憧れが強く、現地の情報が時間差なく取り入れられる傾向にある。アーモンドミルクもハリウッドセレブが取り入れていることからトレンドになった。富裕層をターゲットにしているスーパーマーケットでアーモンドミルクの売場が拡大している。心臓疾患や糖尿病への効果を期待して飲み始める人、アンチエイジングやダイエットのために取り入れる人も多く、富裕層を中心に年々、健康意識が高まっていることが伺える。

 


■子どもの教育に積極的に最新テクノロジーを活用

ジャカルタ市内のモールには子どもの早期教育関連のショップが数多く出店しており、アッパーミドル層以上の親は子どもの教育に熱心で、教育費も惜しまない。1位にランクインした教育系4Dアプリをはじめ、ローカルの学校でもパソコンやタブレットを使用した授業が展開されるようになっている。子どもを対象にした情操教育関連のトレンドは2017年にも誕生することが予想される。

■「ファッション的」な健康志向から

 「欧米的」な真の健康志向へ

健康志向は年々高まっているが、アーモンドミルクの例のように「ファッション的」にヘルシーフードやドリンクを取り入れている人が少なくない。今後は、富裕層を中心に、より欧米的に身体の中から真に健康になるという風潮が徐々に芽生えてくると考えられる。食、エクササイズ、サプリメントなど、さまざまなカテゴリで「健康」がキーワードになってくるであろう。

■GOJEKの登場で変化を遂げる

 インフラ&ライフスタイル

ジャカルタやその周辺は深刻な渋滞が社会問題になっている。そこに「GOJEK」が登場したことで、インドネシアのインフラや人々のライフスタイルは大きく変化を遂げつつある。今回ランクインしたフードデリバリーなど、家や職場にさまざまなモノ・人が届くサービスが続々誕生。店舗を持つことなくビジネスを始められるとあり、若者が事業を立ち上げやすい土壌が整ってきている。ワークショップ人気の背景には、ビジネスを立ち上げたいと考える若者の増加が関連していると考えられ、2017年も新たなサービスや商品が生まれそうだ。

 

TNCアジアトレンドラボでは、こうした動きを2016年も引き続きウォッチしてまいります。他国のトレンドランキングの更新もどうぞお楽しみに。

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■調査概要調査方法:TNCアジアトレンドラボ、現地ボードメンバーを中心としたグループインタビュー、およびライフスタイル・リサーチャーによる定性調査

調査時期:2016年11月

調査対象者:ジャカルタに5年以上居住する男女、かつアッパーミドル以上の生活者、10代後半~20代前半の、トレンドに敏感な層

調査実施機関:株式会社TNC(http://www.tenace.co.jp/)および海外協力会社


■株式会社TNC

各国の高感度層で構成される現地ボードメンバーと共にグループインタビューやリサーチを定期的に行い、ウェブサイトで情報発信や分析を行う『TNCアジアトレンドラボ』を2015年8月よりサービス開始。また70カ国100地域在住500人の日本人女性ネットワーク『ライフスタイル・リサーチャー』を主軸とした海外リサーチ、マーケティング、PR業務を行う会社です。現地に精通した日本人女性が、その国に長く暮らさないとわからない文化や、数字に潜む意味をひもとき、日本人が未だ知らない斬新なモノやコトを探すインバウンズ、日本企業が進出する際のベースとなるリサーチ・アウトバウンズや、現地の人たちの暮らしぶりや生活習慣のレポートから、海外におけるヒント探し、市場レポートなど幅広く対応します。また、レポートに基づいた視察のアテンドも行っております。


■問い合わせ先

株式会社TNC TNCアジアトレンドラボ編集部 木下・濱野

TEL:03-6280-7193 FAX:03-6280-7194

お問い合わせフォーム:https://www.tnc-trend.jp/about/#contact