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2017年アセアン・トレンドランキング ~ベトナム編~

ベトナム
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2017年11月に中部、ダナン市で第25回アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催。ベトナムは議長国を務め、世界各国の首脳陣やCEOが集結しました。2018年には首都ハノイに、2020年にはホーチミンに地下鉄が通る予定で、目下工事が進行中です。英語や日本語などの語学学習や、最近になり水泳を学校の授業に取り入れるなど、教育熱も高い、ベトナムのトレンドを紹介します。

 

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 H&Mも上陸・外資系ファストファッションが揃い踏み

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2017年9月、「H&M」がベトナム初進出。ホーチミン市に旗艦店をオープンし、初日には長蛇の列ができた。入居するショッピングビル内には、2017年出店したGAP系の「OLD NAVY」、そして2016年オープンした「ZARA」も営業しており、いずれも週末は多くの若者で賑わっている。2000年初頭から出店している「Mango」、「TOPSHOP」などとともに外資系ファストファッションの有名店がほぼ揃い踏みした。さらに2017年春には、出店時期には言及していないがユニクロのスタッフ募集が行われ、注目を集めている。SNSの普及などで、世界展開するファッションブランドの情報収集が可能になる中、「手の届く」ブランドとして若者に認知されている。バンコク、シンガポールなど近隣の大都市に比肩する出店ラッシュが続いている。

トレンドの背景

ファッションのローカルブランドでは「PT2000」「NinoMax」など複数あるが、外資系ほどの勢いはない。加えて、ベトナムには大手ブランドの縫製工場が多くあり、流出したB級品が市場で売買されている現状がある。また、ノービザで割安に渡航できるバンコクやシンガポールで購入したファストファッションブランドの商品をCtoC売買しており、ユニクロもベトナム未進出だが、SNSやECサイトでの売買が見られる。このような背景を勘案すると、旗艦店の出店以前から海外ブランド信仰とファストファッションの認知度は高く、出店後に客足が安定的に伸びていることもうなずける。ベトナムでは40歳未満の若年層が人口の半数を超えており、購買意欲と購買力は今後も伸びることが期待される。

 

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 初の国産車も発売予定・変化するベトナムの交通

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交通渋滞の緩和を目指して、対象地域への自動車乗り入れ制限策が2017年9月、ホーチミン市の運輸局に提出された。ナンバープレートと無線による自動認識で、料金徴収はETCにより行うという。午前6時から午後5時までの日中を対象に、車種により料金は異なるが乗り入れには30,000~50,000ドン(約150〜250円)必要となる見込み。また、ハノイ市では中心部の駐車場の空車情報を提供するアプリ「iParking」が試験運用された。迅速に駐車を促し、渋滞解消を図るのが狙い。さらに不動産最大手の「Vingroup」は自動車製造及び販売に参入。ベトナム初の国産車となる「VINFAST」の生産を2019年度中に行うことを発表した。自動車の需要が増える一方で、受け皿となる道路や駐車場の整備は進んでおらず、「供給と制限」のバランスをどう図っていくかが今後の課題となってきそうだ。

トレンドの背景

ベトナムの新車販売台数は、2016年で約30万台と過去最高を記録。価格の高さに加え、関税が100%にも関わらず、自動車需要は伸びている。UberやGrabといった配車アプリの需要も高く、副業としてドライバーをする人も増え、新車購入の追い風になっている。発売予定の初国産車は関税がかからず、中間所得層の購入も増えそうだ。一方で、ハノイやホーチミンの二大都市では年々、渋滞が深刻化している。立体交差道路の建設や、道路の拡張など整備も行われているが追いつかず、さらに駐車場の不足から路上駐車が増え、渋滞の悪循環が常態化している。

 

 異業種からも参入・宅配&着払いサービス

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COD(Cash On Delivery/代引き)の取引は従来、郵便局や配送会社が請け負っていたが、近年ではバイク宅配だけを請け負う専門業者が増えている。異業種からの参入も相次いでおり、不動産最大手「Vingroup」はECサイト「adayroi(到着したよ)」を展開。携帯電話大手「Viettel」も配達事業をスタート。また、100以上のレストランやカフェから出前ができるアプリ「Vietnammm」なども利用者が増加。バイク移動が習慣として根づいており、参入しやすいビジネスモデルとも言えそうだ。今後は支払いサービスの利便性や、価格競争での差別化が図られていく可能性がある。

トレンドの背景

都市部を中心に、生活習慣や勤務スタイルが変化。買い物や食事に時短をはじめとする利便性を求める動きが加速している。さらにスマホの普及でアプリ利用が増加したことも、デリバリーの利用を後押しした。以前から個人や会社、飲食店では、それぞれバイクタクシーでの配達を利用しており、現在も並行して利用されている。専門業者が注目を集めたのは、需要を一元化して管理し、時間帯指定やサイズ・重量による明確な料金設定を行った点。消費者にとっては、自分に合ったサービスを比較・選択できる裾野が広がり、事業者にとっては宅配サービスをきっかけに、決済システムを導入したり、プロモーションの展開など、ビジネスの広がりも期待できる。

 

  社会主義国のベトナムで花開くアート&カルチャー

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2017年6月、ハノイにベトナム初のコンテンポラリーアートミュージアム「Vincom Center for Contemporary Art(VCCA)」がオープンした。公立の美術館や、小規模なギャラリーはあるものの、現代アートに焦点を当てた美術館はベトナム初。また、ハノイでは文化流行の発信基地として「Hanoi Creative City」が注目を集めている。若手デザイナーのショップや、アート作品の展示スペース、またダンスや音楽イベントが開催できる広場を備えている。子どもを対象にしたワークショップも行われ、若い世代だけでなく次の世代の創造性を伸ばす表現の場として親しまれている。

トレンドの背景

社会主義国のベトナムでは、政府への批判や公序良俗を乱すものなど、表現の自由に制限がある。そうした制限の中でどれだけエッジの効いた表現ができるのか、という若手アーティストの挑戦や冒険がベトナムの現代アートの真骨頂。油絵や彫刻など「正統派のアート」に対し、軽視されがちだった現代アートに光が当たりつつあることは注目に値する。一方で「Hanoi Creative City」のように気軽に足を運べて、若者自身がカルチャーを発信できる場所で、若手デザイナーのショップ、スポーツショップ、ジムの他、最上階に入るライブハウスでは若手バンドのライブイベントをクラフトビールとともに楽しめる。若者の間ではインスタ映えする場所としても人気を集めている。

 

 日本の文化・躾を導入する幼稚園・保育園

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都市部で「日本式(kieu Nhat)」の保育園や幼稚園が複数開園している。園児はほとんどがベトナム人。園の特色としては、「敬老の日」や「七夕」などのイベントを行事に取り入れたり、敷地内に自家農園を持ち、栽培から収穫までを通じ「食育」を実践する園もある。また栄養士や医療スタッフを常駐させて健康管理を徹底するなど、従来のベトナムにはなかった幼児教育の新しいスタイルが導入されつつある。保育料・学費は園により異なるが、ホーチミン市内のある園で、年間およそ8,000万ドン(約40万円)程度。市内の一般的なローカル幼稚園の数倍だが、教育熱心な保護者を中心に注目を集めている。

トレンドの背景

ベトナムでは共働き家庭が多いことから、保育園や幼稚園では教育よりも「託児」が重視され、必要最低限の世話をすることが一般的だった。また、経済的に余裕があり、英語教育に熱心であれば、欧米系のインター幼稚園に通わせるケースが多い。生活レベルが全体的に向上する中で近年、学力は小学校以上で身につけさせ、幼児期には道徳観念や情操教育、「生きる力」を培うことを重視する親が増えている。特に日本の子どもが学校の清掃をしたり、並んで順番待ちをする姿はベトナム人にはインパクトがあるようで、日本の製品やサービスへの信頼度のみならず、教育システムを取り入れる動きが見られる。

 


海外文化の憧れ&導入

H&Mなどのファストファッションブランドの進出やユニクロの上陸を望む声など、マクドナルドやスターバックスの上陸時も同様だったように、近隣諸国にはあったがベトナムにはなかった小売店、飲食店の進出は熱狂的に受け入れられる。今後も海外企業の進出は続きそうだ。また、5位の日本の文化・躾が幼児教育に導入されるなど、日本のプライオリティは同国で依然高く、日本式の教育を取り入れる教育機関は増えている。中間層の拡大で子どもの教育にお金をかける家庭も増加するだろう。

■自国文化の再評価、発信も盛んに

海外への憧れがある一方、自国文化の再評価や発信も盛んだ。4位のコンテンポラリーアートミュージアムは、社会主義国であり検閲もあるベトナムにおいて、それらをくぐり抜けて表現を試みるベトナム独自のアート文化が育まれる場となりそうだ。また、「Hanoi Creative City」のような場所は表現の場、さらにその次の世代の創造性を伸ばす場として今後各地に増える可能性もある。2007年にハノイで創業した「Cong Caphe」は、南北統一前のハノイをコンセプトとしたレトロ風カフェ。現在はホーチミンの他、ベトナム各地にあり、多くの若者が「昔のベトナム」「ベトナム文化」をクールなものとして認識していることが伺える。

過渡期を迎える交通インフラ事情

ホーチミンで施行される交通制限やハノイでサービスをスタートした駐車場検索アプリ、そして初の国産車の開発計画など、これまでのバイク中心の社会から車社会への移行が進められている。また、全長1,811kmにわたる高速道路建設も進行中だ。さらにハノイとホーチミンでの地下鉄計画、「Grab」や「Uber」などの配車アプリの浸透など、交通インフラ事情が大きく変わろうとしている。

 

TNCアジアトレンドラボでは、こうした動きを2018年も引き続きウォッチしてまいります。他国のトレンドランキングの更新もどうぞお楽しみに。

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■調査概要調査方法:TNCアジアトレンドラボ、現地ボードメンバーを中心としたグループインタビュー、およびライフスタイル・リサーチャーによる定性調査

調査時期:2017年11月

調査対象者:ホーチミンに5年以上居住する男女、かつアッパーミドル以上の生活者、10代後半~20代前半の、トレンドに敏感な層

調査実施機関:株式会社TNC(http://www.tenace.co.jp/)および海外協力会社


■株式会社TNC

各国の高感度層で構成される現地ボードメンバーと共にグループインタビューやリサーチを定期的に行い、ウェブサイトで情報発信や分析を行う『TNCアジアトレンドラボ』を2015年8月よりサービス開始。また70カ国100地域在住500人の日本人女性ネットワーク『ライフスタイル・リサーチャー』を主軸とした海外リサーチ、マーケティング、PR業務を行う会社です。現地に精通した日本人女性が、その国に長く暮らさないとわからない文化や、数字に潜む意味をひもとき、日本人が未だ知らない斬新なモノやコトを探すインバウンズ、日本企業が進出する際のベースとなるリサーチ・アウトバウンズや、現地の人たちの暮らしぶりや生活習慣のレポートから、海外におけるヒント探し、市場レポートなど幅広く対応します。また、レポートに基づいた視察のアテンドも行っております。


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株式会社TNC TNCアジアトレンドラボ編集部 木下・濱野

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