食・飲料

ノンアルやフレーバーなどベトナム大手ビールメーカーの動き/中小規模のクラフトビールも活況に!

ベトナム
facebookでシェア
Twitterでツイート
Loading

近年の経済発展に伴うコールドチェーン改善から
消費者がビールの味わいなど質を求める傾向に

ベトナムでは各地でビールブランドが存在しており、南部の「Bia Sai Gon」や中部の「Huda Beer」、北部の「Bia Ha Noi」などがある。ベトナムではコールドチェーンが整っていなかったこともあり、ビールにかち割り氷を入れて飲む習慣があり、ビールの味わいよりも喉越しや軽さが求められる傾向にあった。しかし、近年の経済発展に伴い流通の状況も改善したことで、消費者がビールの質を求めるようになってきている。

ビール各社は同ブランド内で、ラガーやフレーバービール、プレミアムビールなど、バリエーションを持たせた商品展開とパッケージデザインを一新する動きをみせている。SABECO社のブランド「Bia Sai Gon」では、通称「赤」と「緑」の2種類のみだったラインナップを一新。デザインのリニューアルと共に、新たに製造方法やホップの種類などが異なる3種を投入。古くからベトナム南部で愛されるオーソドックスな「ラガー」に加え、マイナス2度の特殊なフィルター技術を用いて醸造した「チル」、ホップの新鮮味と深い苦味を追求した「ゴールド」で差別化を図った。価格帯は「赤」が11,000 ドン(約61円)で、「ゴールド」は「Heineken」や「Tiger」といった海外ブランド銘柄と並ぶ20,000ドン(約112円)台となっている。購買層のニーズを幅広く取り込む姿勢がうかがえる。また、中小規模のクラフトビールメーカーも活況をみせている。チェコやベルギーなどの技術や原料に、パッションフルーツやジャスミンといった、ベトナムならではの素材を加えた製造とそれらを味わえる併設のタップルームも増えている。

女性向けフレーバーやノンアルコールビールなど
消費者ニーズに合わせた商品を展開

ベトナムでは都市部の若年層を中心に、新規性のある製品を受け入れる嗜好性、おいしさや質の良さを付加価値として求める傾向が一般的になっている。女性をターゲットにしたライチやライムのフレーバービールや、飲酒運転の厳罰化という社会の動きに連動して、ノンアルコールビールを各社が出すなど、消費者のニーズに合わせた商品展開を見せるようになった。ビールの売り上げは、コロナ前の2019年をピークに減少傾向にあったが、コロナの規制が緩和され外食産業が盛り返したこともあり、「Bia Ha Noi」ブランドを擁する大手ビールメーカーHABECO社の2022年上半期の売り上げは、3兆4,870 億ドン(約207億円)を超え、2021年同期と比較して5.3%の成長率を記録した。