充電スポットなどインフラ整備が整い
都市部のライフスタイルに寄り添う
ベトナム初の国産車メーカーとして2021年度以降はEVの製造販売に注力してきた「VinFast」。初期に販売されたSUVとセダンに続き、2023年にはコンパクトカーを中心とする都市型にマッチした複数モデルを投入し、さまざまなデザイン・車種を展開し、消費者の取り込みを図っている。また、インフラ面においてもユーザーが利用しやすいように、商業施設やオフィスビルに併設された充電ステーションを拡大し、店舗やエレベーターへのアクセスが良いスポットを優先的に充てるなどの工夫が凝らされている。また、「VinFast」は自家用車や社用車といった自動車製品の販売だけでなく、独自に展開するタクシー配車アプリ「Xanh SM」を展開。サービスには自社のコンパクトカーを導入し、持続可能な社会の実現に貢献している。「Grab」や「Be」など他社の配車アプリでもVinFast車両の導入が伸びている。さらに、公共交通である路線バスでも「VinFast」のEV車両を利用したルートが拡大しており、存在感を高めている。
ガソリン価格の高騰や検討しやすい価格設定
都市型コンパクトカーがVinfast好調のカギ
VinFast社のEVカーへの注目には、環境保護への意識の高まりだけではなく、経済的な事情も垣間見える。長期化するガソリン価格の高止まり(2025年7月時点では1L当たり26000ドン、約140円前後)や、他社メーカー製EV車両の輸入にかかる関税の影響が大きく、VinFast社のコンパクトタイプ(バッテリー込み)の車両価格は3億2200万ドン(約190万円)となり、比較的購入しやすい価格帯となっている。ハノイ・ホーチミン市などの都市部では可処分所得が伸びており、2023年からは都市部におけるライフスタイルに合った小回りのきくコンパクトカーが展開されている。自動車の利用者は増加傾向にあるものの、依然として移動手段はバイク・スクーターが主流で、VinFast社のEVスクーターも車と同様、購入検討しやすい価格帯(約190万~500万ドン、約1万〜2万8000円)で利用を伸ばしており、同社の配車アプリのスクーター版「Xanh SM Bike」でも活用されている。





