2024年9月28日(土)と29日(日)に、インドのデリー北西部にあるPacific Mall Tagore Gardenで、日本のアニメ・コンテンツを体験できるアニメイベント「Mela! Mela! Anime Japan!!」が開催されました。『おぼっちゃまくん』の新作アニメが、インド市場に向けて制作決定という驚きのニュースがあったインドで、初めてのインド政府公認の本格的な日本アニメイベントということで、デリー在住のライフスタイル・リサーチャーが前編・後編の2回にわたりレポートします。
後編はこちらから:https://tnc-trend.jp/india50/
インドでは2024年9月から10月にかけて、インドと日本の文化交流を目的とした「Japan Month」が開催されており、政治、安全保障、経済、文化など幅広い分野でセミナーやシンポジウム、展示会、交流会などのイベントが行われている。このイベントもその一環だ。
会場はモール内1階の中央スペース、野外モール正面広場、横広場の3か所に分かれており、日本のアニメをメインにしながら、インドで活躍する日本企業の製品やサービス、日本の観光情報、飲食物も楽しめる内容になっていた。
モール内1階で最も賑わっていたのは、CoMix Wave Filmsのブースだ。インドでも大ヒットした『君の名は。』や『天気の子』、『すずめの戸締まり』のパネルやストーリーボードの周りは人で溢れていた。
トレース体験ができるコーナーもあり、順番待ちの行列ができていた。
トレースを体験していた姉弟、ディヤさん(16歳)とヤシュさん(9歳)は、父親が「珍しいイベントがあるから」と連れてきてくれたそうだ。ヤシュ君はテレビで『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』を時々見ているそうだが、あまり観すぎると母親に怒られるとのことだった。
モール内中央にはサンリオのブースがあり、ハローキティと一緒に写真が撮れるとあって、女性と子どもたちの長い列ができていた。撮影した人には、ハローキティの耳を模したヘッドバンドが渡され、撮影や握手を楽しむ様子が見られた。
キアラさん(13歳)は「握手した手がふわふわでかわいすぎる!」と興奮していた。彼女は『文豪ストレイドッグス』が好きで、作品で知った文豪の本にも興味を持ったそうだ。「キャラクターの物語の表現やセリフが好きで、文豪の本も少しずつ読みたい」と述べていた。
PlayStation 5のゲームを体験コーナーは、ゲームファンで賑わっていた。
モヒットさん(19歳)は、28日に続き2日間連続で訪れたという。弟のダクシさん(14歳)も一緒に来ていて、「普段はスマートフォンでゲームをしている。特に『Free Fire』に夢中で、友達とグループを組んでプレイすることが魅力」だという。PlayStationのようなゲーム機はプレイしたことがないということで、ゲームを楽しんでいた。インドでゲーム機を所有しているのは裕福な層など一部の人で、スマートフォンでゲームをしている人が多い。
『進撃の巨人』の超大型巨人の頭部の展示は、インパクトがあり来場者の注目を集めていた。日本政府観光局(JNTO)のブースで話を聞いた浴衣姿のプリタムさん(22歳)とディシャさん(22歳)は、アニメ好きのプリタムさんの誘いで来場。「最も好きなアニメは『進撃の巨人』で、大型巨人の頭がディスプレイされていて嬉しい。登場人物や物語のスケールの広大さが素晴らしい。」と語っていた。アニメは彼の影響で一緒に見る程度というディシャさんは、この後に食べる日本のデザートを楽しみにしていると話す。「いろいろな日本のデザートを食べてみたい。ラーメンにも挑戦したい」と笑顔だった。
JNTOのブースでは、日本の夏祭りをイメージした設営がされていて、日本の観光案内や書道体験などが行われていた。国際交流基金(JF)との協力で浴衣の着付け体験も実施され、来場者は桜のパネル前で記念撮影を楽しんでいた。
JNTOデリー事務所の村越さんは、「インド人の日本に対する関心の高さを改めて実感した」と語る。課題としては「来場者の中には、すでに日本への旅行を計画している人も多く、具体的な質問が多かった。情報不足で困っている人が多いので、情報をもっと発信する必要がある」と述べた。
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前編では、アニメのコンテンツを中心に紹介しました。後編では、日本の食・コスプレイヤーへのインタビュー・その他のコンテンツについて紹介します。