インドネシアの伝統的な染め物やお菓子など
国産品を取り扱うテナントのみが出店
ジャカルタにあるショッピングモール「Sarinah Department」が、2022年3月に”インドネシア”をコンセプトにリノベーションして生まれ変わり、ジャカルタの新しいトレンドスポットになっている。ジャカルタには多くのショッピングモールがあるが、高級ブランドが集まっている高級モール、ZARAやUNIQLOのようなファストファッションが多い中流層向けモールなど、どこも同じようなテナントが多い。いずれも販売している商品は、輸入・外国製造のものがほとんどだ。このような状況を受け、「Sarinah」は”国産品を応援する”という創立当時のミッションに立ち返り、インドネシア企業のみを誘致し、インドネシアの国産品や料理にこだわったテナントのみで構成されており、他のモールと一線を画している。例えば、ユネスコ世界無形文化遺産に認定されている、伝統的な染物「バティック」(ろうけつ染め)や、籐(ラタン)・オークから作られた民芸品、インドネシアの素材を使用した食品や化粧品が販売されている。
中でも人気のお店は西ジャワ・バンドン州の老舗インドネシア伝統菓子屋「Sari Sari」になり、ココナッツやもち米、赤砂糖を使ったお菓子が多く、昔ながらのバナナの葉や竹の皮で包まれている。価格は1個あたり3,000~5,000ルピア(約26~44円程度)とお手頃でありながら、上質な素材を使用し、懐かしくも上品な味になっている。ジャカルタへの出店は初ということもあり、週末は朝から行列ができていた。「Sarinah」にはインドネシア初のエスカレーターや、創業当時に作られた美しい壁の彫刻、「Sarinah」の歴史について紹介するが展示がされていて、ミュージアムのような楽しみ方もできる。
国産品ファーストの一貫したコンセプトで
インドネシア初のMcDonald‘sも閉店
ショッピングモール「Sarinah」はインドネシアの初代大統領スカルノのもと、 1962年にインドネシア初の国営デパートとしてオープンした。「Sarinah」という名称は、スカルノの乳母の名前から付けられた。独立間もないインドネシアで国産品を応援し世界と戦えるように成長することと小売りビジネスを発展させることのため、これらを大きなミッションとして設立されており、ナショナリズムの象徴でもあった。時代とともに様相を変えてきたが、建物の老朽化が進んだこともあり、大規模なリノベーションを行って、ジャカルタの新しいアイコンとして生まれ変わった。以前の「Sarinah」には、長年愛されていたインドネシア初のMcDonald‘sがあったが、惜しまれながら閉店。LawsonやKFCも閉店するなど、インドネシアというコンセプトを徹底している。インドネシアで初めて「Zero Food Waste」を掲げたモールとしても注目されている。