主食の米に代わるコンニャク芋や
キャッサバなどの代替食品が徐々に浸透中
インドネシアでは、主食の米に代わる食材が少しずつ浸透してきている。一番最初にブームになったのはコンニャク米(しらたき米)になり、「Mr.ISHI」のKonnyaku Riceや「DAILY MEAL」のNasi Jagung(コーンライス)など様々なメーカーから様々な米代替食品が発売されている。コンニャク芋はインドネシアでも生産され始めているが、まだ生産量が多くないことから、1キロ170,000ルピアと価格はかなり高めになっている。もともとインドネシアで生産・消費されていたキャッサバやトウモロコシは生産量が多いため、加工した米代替食品(どちらも1キロ50,000ルピア程度)も安く手に入りやすいが、米(1キロ10,000ルピア~15,000ルピア)よりは高いことから、地方・全国的に普及・ブームとなるまで少し時間がかかると思われる。ただ、地方の人は日常的に食べている食材でもあり、生産量が増え価格が低くなれば受け入れられる素地があると考えられる。また、米の代わりにソルガム(sorghum)という穀物の生産と消費を政府が推奨しており、乾いた土地でもよく育ち、栄養価が高いため、米や食物の生産が難しいインドネシアの東エリア(NTT、NTBエリア)で積極的に生産が行われている。
政府による米代替食品の生産・消費の推奨や
健康に対する意識の高まりから今後の動向が注目
インドネシアは東南アジアで最大の米の生産国だが、消費量が多いため米の一部は輸入に頼る必要がある。インドネシア国民の1日あたりの平均摂取カロリーは、米が最も多く、831.57カロリーとなっている。インドネシアの人口は増加しており、2050年には人口3億人を超えると予測されている中、安定的な食糧の供給は大きな課題となっている。インドネシア農業省は国内の更なる食の多様化を安定的な食糧供給の課題解決策の一つとして位置づけており、インドネシアはもともと米の代わりにキャッサバやタロイモ、トウモロコシ、サゴヤシなどを主食として食べている文化があり、インドネシア農業省はこれらの食料の状態の良い種子や苗木を農家へ提供し、生産量を増やす活動を引き続き行っている。また、肥満や糖尿病患者が多いため、保健省も米以外のGI値が低い食材の消費を奨励している。ジャカルタ都市部や中流層以上を中心に健康志向が高まっており、この数年は糖質制限や炭水化物制限ダイエットへの関心が強くなってきている一方で、インドネシア料理にはご飯が欠かせないという文化(お米を食べないとご飯を食べたことにならないという考え方が一般的)もあるため、ご飯抜きのダイエットはなかなか受け入れらにくい背景もあり、米に変わる代替食品の開発・販売が進んでいる。