オフィスエリアを中心にサービスを提供
利用者拡大を受け、今後地方にも展開予定
「Mau Kopi?(コーヒーいる?)Cuma Rp.8000(たったの8,000ルピア)」という文字が目を引く赤い電動自転車を、ジャカルタ市内のあちこちの街角で、朝と昼休みの時間帯によく見かけるようになった。この電動自転車でコーヒーを販売する「Kopi Jago」は、2020年に営業を開始したスタートアップ企業。パンデミックが落ち着いた2022年以降、急速にビジネスを拡大している。2023年に450台の車両を稼働させ、2024年中には、1,500台の稼働を目標としている。Kopi Jagoの主力商品「Kopi Susu Jago(アイスコーヒーミルク+黒砂糖シロップ)」は、8,000ルピア(75円程度)で、コンビニで販売しているコーヒーよりも安い。コーヒー以外にも、紅茶、ほうじ茶ラテ、ココアなどの新メニューも増加し、ユーザーのニーズに答えている。ユーザーはアプリで最寄りのJagoan(Kopi Jagoの販売員)を検索し、商品のストックを確認してオーダーする。配達(無料)、受け取りに行くかを選べる。2024年からは、結婚式や企業イベント向けの「Jago Party」という大量注文サービスも開始した。「Kopi Jago」が人気を集める理由は低価格であることに加え、出勤・退勤時間帯に駅周辺やオフィス街で簡単に購入できる利便性があり、近くに販売員がいない場合でも、アプリを通じて配達が可能なところにある。2024年11月現在はジャカルタのオフィスエリアが中心であるが、今後は地方にもビジネスを広く展開する予定だという。
インドネシア独自のカフェ文化にマッチ
効率的にコーヒーを販売する仕組みが好評
「Kopi Jago」のコーヒー販売スタイルは、インドネシアのコーヒー文化の進化を象徴している。インドネシアは世界第3位のコーヒー生産国であり、コーヒーは生活に深く根付いている。カフェや屋台以外に、”Kopi Keliling”と呼ばれる自転車でコーヒーを売り歩くスタイルが定着していた。「Kopi Jago」は従来の”Kopi Keliling”とは違い、電気自転車(クーラーボックス付き)なのでコールドドリンクを冷たいまま提供できる。アプリでオーダーを受けるため、Jagoan(販売員)は効率的に営業できるなどのメリットがある。「Kopi Jago」はアプリやテクノロジーを駆使し、”Kopi Keliling”を効率的かつ現代的なビジネスモデルに進化させた。バイクタクシーをアップデートさせた「Gojek」のように、零細ビジネスをテクノロジーの力で大規模に展開した成功例だ。