小規模店舗でのQRコード決済が主流のラオス
共通QRコード「LAPNet QR pay」が登場
銀行のモバイルアプリを用いたQRコードによる決済が全国的に普及しているラオスで、各銀行が共通利用できるQRコードへの変更が進められている。この共通QRコードは、2019年11月に発足した「LAP Net(LAO NATIONAL PAYMENT NETWORK)」によって新たに提供された「LAPNet QR pay」。2022年10月の発表時には6銀行が加盟していたが、2023年5月現在では12の銀行で共通利用が可能となっている。ラオスにおけるQRコード決済は、最大手銀行「BCEL」が2017年にモバイルアプリのサービスをラオスで初めて開始すると、個人間の送金や各種料金の支払い、特にラオスの通貨事情もあり、QRコードを用いた店頭での支払いが最も使われるようになった。「BCEL」は小規模商店に対してもQRコードの決済を推奨し、市場等に出張店舗を設けるなどして普及活動を行っている。その後、「BCEL」以外の銀行も次々とモバイルアプリ・QRコード決済サービスの提供を始め、その結果店頭には各銀行のQRコードが乱立するようになった。「LAPNet QR pay」への移行が進むことで、決済サービスによって利用できないなどの問題を防ぎ、消費者と商店ともに利便性の向上が期待される。
利用する紙幣の量が多いラオスの通貨事情
銀行口座を持つ人が増え、電子決済サービスを後押し
ラオスの通貨であるkip(キープ)の為替レートは、2023年5月24日現在、$1=約17,000kip。そのため、例えば100ドル紙幣の両替は1,700,000kipに相当し、最大額面が100,000kipのため、17枚もの紙幣が必要となる。また、少額の取引においては、ラオスには硬貨が存在しないため、すべての取引が紙幣で行われる。このため、支払い手も受け取り手も多くの紙幣を同時に扱う必要があり、その過程は煩雑さを伴っていた。また、最近では月給制で給料を受け取る職種の人々が増え、バイクや携帯電話などをローンで購入する人々も増加している。この傾向が、銀行口座を持つ人口の増加を促している。そして、スマートフォンの普及率の高さが相まって、QRコード決済の利用が一気に広まっていった。