手軽に楽しめる価格帯で利用でき、
ゲームを通して人との交流を楽しむ
ベトナムでは、20代の若者たちが文章や画像、音声などの生成AIを活用し、個人のビジネスシーンを変えつつある。TikTokやYouTubeのショート動画などで再生回数を伸ばして収益を得るのみならず、アカウントの認知度が高まることで案件の依頼を受けるといった展開も広がっている。パソコンやスマホがあればAI画像や動画を生成できる手軽さも、トレンドの要因となっている。生成AIで作られた絵本の読み聞かせ動画(hamin.minthantho)は再生回数が50万再生以上を超え、視聴した親や教育関係者から「このような動画の作り方を教えてほしい」「依頼したいことがある」と注目され、収益を得られるようになったという。こうしたAIを活用した動画作成や作り方の教授などを個人ビジネスとする流れは今後も拡大すると予想される。
ベトナム政府による後押しでIT人材の
育成とデジタルインフラの整備が進む
個人レベルでのAI活用が広がる背景には、若年層のITリテラシー向上とソーシャルメディアの普及がある。ベトナム政府もIT人材の育成とデジタルインフラの整備に注力している。インフラ面では、2025年までに2本の国際海底光ファイバーケーブルルートの運用開始や、人工知能アプリケーションを支えるデータセンター(AIデータセンター)の形成が予定されている。また、科学技術省の主導で開催される「ベトナム人工知能フェスティバル(AI4VN)」も注目を集めている。2024年8月にハノイで開かれたAI4VNでは、国内中小企業向けのAIシステムや製品が紹介された。コンテストでは、顧客に最適なインタラクションを提供するコールセンター向け仮想アシスタントが受賞。こうした個人と企業の両輪によるAI活用の発展は、今後のベトナムのデジタル経済を大きく押し上げると期待されている。