世界遺産や歴史的建造物のミニチュアを展示
プロジェクションマッピングなどが楽しめる
「MinNature(ミンネーチャー)」は、クアラルンプール中心部にある常設の屋内ミニチュアランド。内部は8つのゾーンに分かれており、マレーシアを象徴する文化や伝統を、鉄道模型と同等の1/87サイズで展示している。展示内容は、世界遺産であるマラッカの街並みやバツゥ洞窟のヒンドゥ寺院、独立とイギリス統治の象徴であるスルタン・アブドゥル・サマド・ビルやメルデカ広場などの建造物をはじめ、屋台街やマレーシア風焼き鳥サテ、移動販売の菓子などの食文化、30以上の民族を表す多民族国家のダイナミズムが含まれている。2008年にプロジェクトが始動して以来、国内外から40人以上のアーティストが参加している。展示されている歴史的建造物に、一定時間ごとにプロジェクションマッピングが投影されるほか、随所に忍んでいる世界の有名キャラクターを探す体験型・参加型の展示で楽しめる。 2020年から本格稼働を開始し、10〜20代にとって今までなかったフォトスポットとしてSNSで話題に。経済的に頻繁に旅行できない若者にとって、安全かつ効率的に国内一周の体験が可能で、デートスポットとしても人気を集めている。
展示物の世界観に没入しやすい工夫で
ミニチュアを通して細部まで体験が可能
ミニチュアやジオラマ製作経験がなかった主宰者が、2008年にドイツの鉄道模型の動画を見たことがきっかけでプロジェクトを始めた。ただ展示するだけではなく、ミニチュアを通じて「マレーシアの豊かで多様な歴史と文化の本質を細部まで体感できるように」「マレーシアのすべてをこの場所で1日で体験できる」ことを目指している。また、地元のクリエイターにとっても、ポップカルチャーが根付いているとは言い難いマレーシアで、アイデアを活かせる場となっている。従来の博物館や美術館にはない自由度を確保するため、展示物を保護するガラスやパーテーションの設置を最低限にとどめ、観る人が世界観に没入しやすいように工夫されている。日本のZ世代が昭和レトロに惹かれるように、「写真で見たことがある風景」「祖父母の住んでいる田舎の風景」と、レトロな世界観に魅せられている。