お手頃な価格で購入できるアヒルヘアクリップ
若者の間でアヒルを付けた自撮り写真の投稿が目立つ
2024年2月の旧正月頃から、学生や若い会社員などZ世代の男女の間で、黄色いアヒルのヘアクリップが大流行している。子どもがお風呂で遊ぶ「ラバーダック」に似ており、大きさは4センチほどで素材は軽い発泡スチロールでできている。スプリングが付いており、動くたびに頭上でアヒルが揺れる。髪飾りとして頭に付けることが特徴で、20代の女性たちは「頭に付けると軽く揺れてキュートで可愛い」、「コスプレまではしないけど、付けるだけで目立つ」と話し、グループでの自撮り写真をSNSに投稿している。旧正月の時期には各地でイベントが開催され、多くの参加者がこのアヒルヘアクリップを付けていた。アヒルヘアクリップは道端の露店や通販で約40ペソ(約100円)で購入でき、安い場所では1個20ペソ(50円)程度と、誰でも手軽に購入できる価格であることも流行の理由の一つと考えられる。
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明るく楽しく過ごすことを重視する
フィリピン独自のローカルトレンド
ファッションに敏感で、アメリカンセレブやK-POPの流行を取り入れることを好むフィリピンのZ世代だが、このアヒルヘアクリップの流行はそのどちらでもなく、フィリピン独自のトレンドとなっている。毎日を明るく楽しく過ごすことを重視するフィリピンらしいローカルトレンドといえる。学校に付けてくる学生が多い中、フィリピン教育省が「アヒルを付けることで学力低下の原因にはならないので、学生が付けることには問題ない」という異例の発表がされ話題となった。
アヒルヘアクリップが流行している理由は明確ではないが、フィリピン北部のバギオ地域で2023年に行われたイベントで配られたという説や、旧正月を祝って黄や赤の色を身につけると縁起がいいとされることから流行ったという説がある。フィリピン大学の文学部のナヴァル博士は、「バンドワゴン症候群」、つまり流行に乗るために大多数の選択に同調する傾向が、フィリピン人の間でよく見られると指摘している。学生だけでなく若い会社員も付けており、職場で付けて働く人の様子が動画で共有され、パーテーション越しに見る頭上のアヒルが可愛いと話題になっている。