トレンドのアイテムや人気ブランドなど
ゲーム感覚で探し出す楽しさが人気の理由
近年、古着がおしゃれに敏感なフィリピンのZ世代たちに注目されている。フィリピンではアメリカでの流行をYouTubeやPinterestなどのSNSを使っていち早く取り入れており、フィリピンのファッション系YouTuberの「Jeorella Gatcharian」や「CessTan」などが人気で古着選びの参考にしている。フィリピンでは衛生問題や環境問題などの観点から1966年に「古着およびぼろ着」の輸入が禁止されているが、制定当時の状況とは異なることもあり、反対意見が多く、古着はコンテナで世界中から輸入されている。
ファッションの流行り廃りの激しい中で若者たちは「流行がすぐに変わるものにわざわざ高いお金を払う必要はない」 「新品にはこだわらない」 と考え、新品の服にお金をかけるのではなく、安い価格で数を揃えられる古着でファッションを楽しんでおり、「アメリカやヨーロッパ、韓国からくる服のデザインは自国にはないものが多いので一目置かれる」とストリート系のTシャツをはじめグランジ、数十年前のY2Kやレトロスタイル、バギージーンズ、90年代のスニーカーなどが人気のアイテムになっている。
ブラック系ファッションは、Z世代の間では「ストリート系」と呼ばれ、着心地が楽なこともありオーバーサイズが流行している。古着店は、フィリピン語で「掘る」を意味する「Ukayukay(ウカイウカイ)」と呼ばれ、なかでも「Dress Up Thrift Fashion Ukay」や「WCHA」が人気店だ。こうしたUkayukayの人気の理由は安さだけでなく、古着商品の中から流行のアイテムやブランド品、クオリティの高い商品などをゲーム感覚で探し出す楽しさにもある。したがってオンラインではなく実店舗での買い物が楽しまれ、以前には貧しいエリアの片隅にあった古着店が今ではビルの中に店舗を持つところも増えており、入荷数、商品数も豊富になった。1着5ぺソ(5円)ほどの破格のものもあり、100~250ペソでおよそ10着の服が購入でき、大学生の1人は「1000ペソ/月の小遣いから、25%ほどを古着店での買い物に使っている」という。
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ウカイウカイは比較的安価で自分の個性を
表現することができると若者から支持
古着は不定期に海外から船便のコンテナで入荷され、これを小売り業者が買い、店舗で販売している。元々は自然災害の多いフィリピンに災害救援として海外から寄付された衣類がコンテナで届けられたことから始まった。そうした海外からの救援物資の衣類にヒントを得て、ルソン島北のバギオという地域から古着販売が始まり、ビジネスへと発展した歴史がある。フィリピンの法律では古着やボロ切れを輸入し販売することは1966年に禁止されているが、この法律ができた時代とは状況が異なると改定しようとする動きが専門家によって起きている。そんな中若者たちは、店舗に入荷日をチェックし、比較的新しいものや本来の価格では買えないような高価なブランド品などの“掘り出しもの”を見つけるのを楽しんでいる。利用する若者に聞いたところ「Ukayukayがトレンドになる前は低所得者向けの店だったけど、古着の中にZARAやH&M, NIKE, LEVISなどが混ざっており、ショッピングモールで買うよりもずっと安い価格で質の良いものが手に入る」「裕福でなくても古着で自分の個性を表現するおしゃれができるUkayukayが欠かせない」と広く支持されている。