食料自給率向上のためハイテク企業が登場
消費者の意識向上に向けた情報発信も
シンガポール初のオーガニック&カーボンゼロの垂直農園を運営する「Sky Greens」は、屋内農園にて世界初の低炭素型油圧式商業農法システム(植物の育成に最適な光の強度や光を波長毎に分解し、波長ごとの強度などを示す分布図をAIが判断し、調整することで最適な育成環境を整えるシステム)を開発し、特許を取得。また、シンガポール国内最大規模を誇るの屋内農業施設と農業技術ソリューションを駆使した「VertiVegies」では、化学薬品を使用しない施設での水耕栽培による化学薬品や農薬を一切使用しない無農薬・無公害の栽培方法を売りにしている。AIを使用したシミュレーションで、効率的な生産・廃棄物の削減・気候変動への耐性を実現したり、特殊なフィルターや紫外線を使用したクリーンルームで栽培したりすることで、食の安全性と栄養価を高める工夫がされている。「Sky Greens」と「VertiVegies」はともに、環境に関する情報の発信やシェアを積極的に行っており、工場・農園見学といったような消費者教育にも力を入れている。また、このようなハイテク企業にとどまらず、花屋などでも野菜の水耕栽培が見かけられ、産地産直の意識は今後ますます加速していくことが考えられる。
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2030年までに食料自給率を10%未満から
30%に引き上げる国家目標「30 by 30」
シンガポールでは比較的国土が狭く、食料品の多くを輸入に頼っているのが現状。自国での食料生産に対する意欲を高め、シンガポールの食料供給の安定性を強化するため、2030年までに栄養需要(nutritional needs)の30パーセントを国内生産で賄うことを目標にする「30 by 30」というスローガンが2019年に掲げられた。コロナ禍では生鮮食品をメインに特にマレーシアからの輸入食品が軒並みスーパーから消えたことは記憶に新しく、ハイテク化を駆使した技術は救世主となることが考えられる。