エコロジー

シンガポールで始まった飲料容器回収制度「BCRS」/10セントのデポジットでリサイクルを促進

シンガポール
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2026年4月に導入された飲料容器返却制度
官民一体による取り組みで、新たなエコ習慣を促進

シンガポール政府主導のもと、飲料容器のリサイクル率向上を目指す国家制度「BCRS(Beverage Container Return Scheme:飲料容器返却制度)」が2026年4月1日に導入され、現在(2026年8月時点)は9月30日までの6か月間にわたる移行期間の真っ只中にある。

本制度では、対象マークが記載された150ml~3リットルまでのプラスチックボトルおよび缶飲料の購入時に、10セントの預り金が上乗せされる。その後、飲み終わった空容器を国内1,070か所に設置された自動回収機(Return Right Machine)へ返却すると、交通決済システム・アプリ「SimplyGo EZ-Link」やスマホ決済・送金アプリ「DBS PayLah!」などを通じて、デジタルマネーとして返金される仕組みとなっている。

公営住宅(HDB)居住者の90%以上が徒歩5分以内でアクセスできる回収インフラの整備に加え、大手スーパーのNTUC FairPrice等では消費者の混乱を防ぐため、値札は本体価格表示とし、レジで10セントを加算するという統一表示ルールを導入するなど、官民一体となって市民の生活圏に新たなエコ習慣を促進している。

 
 
 
 
 
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深刻な廃棄物処理問題を抱えるシンガポール
家庭ごみの排出量削減に向けた取り組みを強化

本制度の導入にあたり最大のきっかけとなったのは、国内唯一の最終処分場である「セマカウ埋立地」が、現在の廃棄物処分量が続けば、2035年ごろには容量に達するという、深刻な廃棄物処理問題がある。高層コンドミニアムや公営住宅の各階に設置されたダストシュートへ無分別にごみを捨てる文化が長年根付いていたシンガポールでは、家庭ごみのリサイクル率が11%にまで低迷し、街中のリサイクル箱も約40%が食品ごみ等で汚染されるなど課題が山積していた。

こうした状況を打開するため、政府は「ゼロ・ウェイスト・ネーション」を掲げて本モデルを採用し、飲料メーカー側へ回収インフラの義務を負わせるEPR(拡大生産者責任)モデルによって自動回収機の大規模設置を実現。2026年6月には1人あたりの家庭ごみ排出量が約21%減少したという最新データが発表された。

また、7月1日からは家庭ごみ収集料金の改定や省エネ家電規制の強化が順次導入されており、補助金などの経済的インセンティブに加え、規制面からも生活習慣への定着が図られている。