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2018年アジア・トレンドランキング ~ベトナム編~

ベトナム
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9月にチャン・ダイ・クアン国家主席逝去という大きなニュースもあった2018年のベトナム。経済成長は順調で、平均年齢も約30歳と若く、日系企業の進出も盛んになってきています。2019~2020年を目標にハノイとホーチミンでそれぞれ鉄道、地下鉄が開通予定。新たなアジアのハブとなるべくホーチミンにロンタイン新国際空港の建設計画もあるなど、インフラ整備にも注力しています。2020年にはハノイ市街地でF1ベトナムグランプリが開催されることも発表された、ベトナムのトレンドランキングを紹介します。

 

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 初の国産乗用車「VINFAST」発売に向けて準備着々

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ベトナム初の国産自動車販売を目指す「VINFAST」が、パリで開かれたモーターショーに初出展し、アンバサダーにデビット・ベッカム氏を起用するなど大々的なPRで話題を集めた。海外企業に依頼したデザインから、最終候補を消費者の人気投票で選出。セダンとSUVの2種を発表した。2019年3月に試験生産がスタート、同年9月に本格生産を開始する予定。工場はハノイ近郊で稼働を始めるという。VINFASTでは上記に加え、5種類のモデルラインを投入する計画を進めている。

トレンドの背景

経済発展や配車アプリの活況も相まって、乗用車の需要や購入は伸びている。現在はすべて輸入車で、都市部には各メーカーのショールームや中古車販売店が点在している。韓国のヒュンダイ、アメリカのGM(シボレー)などのコンパクトカーが比較的手の届きやすいラインとして人気を集めるものの、まだまだ高嶺の花。ASEANエリアからの輸入に関しては関税が事実上撤廃されたものの、新規制を導入したため販売価格への還元はさほどないのが現状。ベトナム地場の不動産デベロッパー「ビングループ」による、国内初の国産車は中間層以上に幅広く選択肢を与えると、消費者の間では期待が高まっている。

 

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 配車アプリ市場が活況

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UBERのASEAN市場撤退後、Grabが一強を誇っていた配車アプリ市場に2018年8月、インドネシア大手のGOJEKが「GoViet」の名称でベトナム市場に参入した。低価格やお試しの無料クーポンなどを提供し、SNSでも広告戦略を展開。顧客獲得を図っている。Grabは配車サービスのみならず、配送やレンタカーサービスなど車の運用範囲を拡大。ベトナム国内での4年の運用実績を糧に、異業種との連携を強化。レストランの予約サービス、デリバリーサービス、医療や美容のサービスを同じアプリ上で利用可能となり、さらに獲得ポイントに応じて割引クーポンが獲得できるなどサービスの拡大を図っている。

トレンドの背景

現在のところ、GrabとGoVietが配車アプリではツートップと言える。他にもタクシー大手「MAI LINH」の配車バイク部門が運用しており、さらに2018年9月には地場企業の「Go-Ixe」がバイクや乗用車の配車サービスの試験運用を国内8つの省や市でスタートさせるなど、配車サービスは今後も活況が予想される。一方で、ここ数年で運用がスタートしたものの縮小や撤退を余儀なくされた企業もあり、競争の激化は必至。ベトナムでは地下鉄や高速道路など、整備の進む交通インフラや、既存タクシー会社との住み分けが今後注目される他、多角的なサービス展開による、既存の飲食系アプリなどとの競争や共存をどう図るのかも目が離せない。

 

 伝統料理がクールに生まれ変わる「ハイブリッドメニュー」

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ホーチミン市のアメリカンダイニング「Relish & Sons」では、ベトナムならではの食材や料理をハンバーガーにアレンジしたメニューが人気を集めている。「フォー・バーガー」(15万ドン/約780円)はベトナムの米麺「フォー」をカリカリに焼いたバンズを使用。また、ご飯に甘辛く下味をつけたポークソテーを載せた「コム・タム」をモチーフにしたライスバーガーも人気がある。人気のベトナム南部料理で甲羅の柔らかい小ぶりのカニを唐揚げにした「クア・ロッ・チン・ボ」を挟んだクリスピーな食感が癖になる。いずれのメニューもソースはベトナムで広く使われる魚醤のヌックマムをベースにし、つけ合わせのニンジンとダイコンでつくったなますのようなdo chua(ドー・チュア)が味を引き締める。

トレンドの背景

経済発展に伴い、各国料理や新たな飲食店が増加している都市部。他店との差別化を図り、集客を図ることが求められている。ハイブリッドメニューの展開は、奇をてらうのではなく、馴染み深い伝統食材を用いている点が秀逸。ベトナム人の味覚に合う味でありながら、新しい調理法と海外の料理との融合は、特に若い世代にクールなものとして受け入れられている。伝統をアレンジする動きはファッションにも見られており、60~70年代の音楽やアンティーク家具などを取り入れたカフェや、古着のリフォームなども浸透しつつある。

 

  「MoMo」をはじめとする電子決済の利用拡大

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世界的な潮流に乗るように、ベトナムでも電子決済の普及が進んでいる。携帯電話大手「Viettel」は2018年6月に、スマホ決済や送金サービス「Viettel Pay」を新たに開始。これまで銀行口座を持たなかった農村部でも利用者を伸ばしている。携帯電話や通信会社大手、さらに配車アプリのGrabやSNS大手のZaloも相次いで電子決済事業への投資を発表。決済アプリではパイオニア的存在の「MoMo」は、当初アプリ上での決済をメインとしていたが、最近ではコンビニやタクシーの支払いなど、小売りや対面販売にも精力的にサービスを拡大。2018年上半期でアプリのダウンロード数は800万件を超えている。

トレンドの背景

経済発展は著しいものの、都市部以外では銀行口座を持っている人が少ないことが電子決済が受け入れられた背景にある。口座やカードを持っていなくても決済や支払いがスムーズにできる。さらに、ネットやスマホの利用率は飛躍的に伸び、スマホ所持率はここ数年で2割から7割に増加したことも決済アプリの利用に拍車をかけている。また、決済アプリ各社では銀行との連携も盛んなため、アプリを入口に銀行口座の保有率アップにも寄与している。ベトナム中央銀行は2020年までに銀行口座の保有率を7割に引き上げる狙いもある。

 

 フレーバーティーがヘルシースイーツとして支持

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都市部を中心にフレーバーティーやミルクティーの専門店が増加している。既存のカフェが撤退し、お茶の専門店が取って代わっている。香港や台湾資本など外資が中心でチェーン展開を積極的に進めている。香港の人気店「HEEKCAA」の定番メニューは「Heekcaaスペシャル」(57,000ドン/約280円)で、スイカやオレンジなど6種類のフルーツがたっぷりと入っている。クリームチーズを使った濃厚なホイップ、アラザンなどのトッピング、様々なフレーバーをつけたタピオカなど、組み合わせを好みでカスタマイズ可能なメニューも豊富に提供している。女性を中心に幅広い年代で人気を集めている。

トレンドの背景

これらのフレーバーティーは、カラフルでSNS映えする点でも若い女性に人気がある。また、ベトナムではコーヒーは刺激物で、肌に良くないなどの印象を持たれ、古くから女性には敬遠される傾向があった。一方、お茶はヘルシーイメージが高く、果物やゼリーなど低カロリーなトッピングで、いわゆるファストフードよりは身体に良いと支持されている。フルーツなど食べ応えのあるトッピングも多いため、飲み物というカテゴリーよりもヘルシーなスイーツとして取り入れている人もいる。5年ほど前からタピオカミルクティーは定番メニューとして認知されていたが、伝統的にコーヒー文化だったベトナム(特に南部)にあって、フレーバーティーをはじめとするお茶やお茶関連商品、メニューの展開に今後も注目したい。

 


■大きく変わるベトナム自動車産業

10月に開催したパリモーターショーは、ベトナム初となる国産自動車メーカー「VINFAST」の話題で盛り上がった。発表された2台の車は、欧州の自動車雑誌の著名な編集員や自動車ジャーナリストらから構成される組織「オートベスト(Autobest)」から「ニュースター賞」を受賞した。「VINFAST」は、地場系大手不動産ビングループが手がける。富裕層や中間層が台頭するベトナム市場で、関税のかからない初の国産自動車メーカーとして、幅広く選択肢を与えるようなモデル展開が期待され、2019年には自動車産業のさらなる盛り上がりが期待される。

■電子決済の利用拡大

ネットやスマホの利用率は飛躍的に伸び、Eコマース市場は年35%の成長をみせるも、国民の銀行口座の保有率は低いベトナム。携帯電話大手「Viettel」は2018年6月に、スマホ決済や送金サービス「Viettel Pay」を開始した他、電子決済に各分野の大手企業が続々参入している。2007年にサービスを開始した「MoMo」をはじめ、各スマホ決済サービスは最近ではコンビニやタクシーの支払いなど、小売りや対面販売にも精力的に拡大。ベトナム中央銀行は2020年までに銀行口座の保有率を7割に引き上げる狙いもあり、電子決済の浸透を加速させている。

TNCアジアトレンドラボでは、
こうした動きを2019年も引き続きウォッチしてまいります。
他国のトレンドランキングの更新もどうぞお楽しみに。
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■調査概要調査方法:TNCアジアトレンドラボ、現地ボードメンバーを中心としたグループインタビュー、およびライフスタイル・リサーチャーによる定性調査

調査時期:2018年10~12月

調査対象者:ホーチミンに5年以上居住する男女、かつアッパーミドル以上の生活者、10代後半~20代前半の、トレンドに敏感な層

調査実施機関:株式会社TNC(http://www.tenace.co.jp/)および海外協力会社


■株式会社TNC

各国の高感度層で構成される現地ボードメンバーと共にグループインタビューやリサーチを定期的に行い、ウェブサイトで情報発信や分析を行う『TNCアジアトレンドラボ』を2015年8月よりサービス開始。また70カ国100地域在住600人の日本人女性ネットワーク『ライフスタイル・リサーチャー』を主軸とした海外リサーチ、マーケティング、PR業務を行う会社です。現地に精通した日本人女性が、その国に長く暮らさないとわからない文化や、数字に潜む意味をひもとき、日本人が未だ知らない斬新なモノやコトを探すインバウンズ、日本企業が進出する際のベースとなるリサーチ・アウトバウンズや、現地の人たちの暮らしぶりや生活習慣のレポートから、海外におけるヒント探し、市場レポートなど幅広く対応します。また、レポートに基づいた視察のアテンドも行っております。


■問い合わせ先

株式会社TNC TNCアジアトレンドラボ編集部 濱野・木下

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