家電・IT

電子決済サービス市場の競争は激化/生活必須のサービスで差別化を図る

ベトナム
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市場競争が激しさを増したことで
あらゆる支払いが電子決済で可能に

ベトナム銀行協会の統計によると、2019年8月までにベトナム国家銀行から決済仲介サービスの認可を得た企業は31社で、いずれも40以上の商業銀行と連携している。電子決済最大手「MOMO」、配車サービス「Grab」と提携している「MOCA」、メッセンジャーと連動した「ZaloPay」が市場シェアの9割を占めるといわれているが、その他のサービスも次々登場し、市場競争はますます激しさを増している。各社は、新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの乗り換えを防ぐため、さまざまな店舗や機関との提携を積極的に進めている。その結果、公共料金から運賃、税金まであらゆる支払いが電子決済で可能となり、店舗利用での割引サービスも拡大中だ。昨今「MOMO」は車両登録をはじめとした行政サービスにも対応してきているほか、2019年には米プライベートエクイティ投資会社のウォーバーグ・ピンカスから資金調達。チェコ系消費者金融企業ホームクレジット・ベトナムと提携するなど外資企業とも提携を進めている。

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根強い現金社会のベトナム
電子決済の拡大に期待がかかる

ベトナムは根強い現金社会で、2017年時点で電子商取引でも支払い手段の90%強は現金である。15歳以上のベトナム人の銀行口座保有率は2019年時点で30.8%と、ASEANでもっとも少ない割合だ。だからこそ銀行口座が必要なく、店頭で現金を支払うことでチャージできる電子決済サービスが人気となり、拡大にも期待がかかる。ただし市場競争の激しい昨今、電子決済各社は差別化を迫られている。「MOMO」も提携先を次々と拡大しているが、最近は行政との提携による公共サービスへの対応が目立つ。このほかにもスーパーマーケットや保険会社など生活に必須のサービスへの対応を広げており、現在の電子決済最大手という地位を固めようとしているようにみえる。

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