ロボット付属のモニターとカメラで
遠隔診察も可能
COVID-19の感染拡大を受けて、ハノイ、ホーチミン、フエといったベトナム各都市の医療機関でロボットが活躍している。ハノイでは、2020年4月科学技術省と国防省に属する軍事技術大学とで共同開発された「Vibot」が、BắcThăngLong病院でデビュー。最大100kgまでの食品や医薬品などを運ぶことができ、付属のモニターとカメラを使えば、医師が遠隔診察を行うことが可能だ。
また、ホーチミン市でも医療用ロボットが活躍。ホーチミン市工科大学の学生Lương Hữu Thành Nam氏とNguyễn Đào Xuân Hải氏が開発したもので、こちらも同様に遠隔診察が行えることに加えて、患者の心拍数や血圧の測定を行えるなど、さらに医療対応に特化したものとなっている。現場では、医療従事者から「医薬品や検体を(ロボット内蔵の)保冷庫で運んでくれるので安心」、患者からは「電子マネーで決済できるので待たされなくてよい」といった声が挙がっている。
2017年には世界7位の市場規模
ロボット産業は今後も拡大の予想
近年、ベトナムは産業用ロボット市場が拡大しており、ローカルニュースサイト「Báo Người lao động 」によると、2017年には世界で7位の市場規模となった。ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト(日本発祥の「ロボコン」アジア大会)では、ベトナム代表校が過去3回の優勝と3回の準優勝という実績を残しており、「技術に強いベトナム」を印象付けている。そんな背景もあり、過去には接客用ロボットや廃材を使った環境保護を訴えるロボットなど表現方法としてもロボットが活躍している。今までに培われてきた技術が「人と人との接触を避ける」という現在の状況において発揮された格好だ。
「Vibot」は、3~5人分のスタッフに相当するパフォーマンスがあるとされており、政府のお墨付きだ。COVID-19終息後もベトナムのロボット産業は、拡大すると予想される。