アート&デザイン エンターテインメント

開封動画で話題沸騰!ベトナムのZ世代に絶大な人気を誇る中国発アートトイ「Baby Three」

ベトナム
facebookでシェア
Twitterでツイート
Loading

ベトナムZ世代が熱狂するアートトイ
自分好みにカスタイズできるサービスも登場

2024年末頃から、ベトナムの若者の間で中国発のぬいぐるみ「Baby Three」が爆発的な人気を集めている。きっかけはTikTokで拡散された開封動画で、可愛らしい見た目と何が出るか分からないワクワク感がZ世代の心を掴み、瞬く間にトレンドになった。「Baby Three」は、「フルボックス」と呼ばれるセットでは100万VND(約6,000円)を超えるが、1個25万~32万VND(約1,500~1,900円)で小分け販売されており、若者でも比較的手軽に購入できる。また、レアなものになると200~300万VND(約12,000~18,000円)にもなることから、コレクション欲を刺激する要素も人気の要因の一つだ。

ベトナム人のZ世代の男性へのヒアリングでは、「今やベトナム人の若者で1つも持っていない人はいない」「男女問わず人気があり、誕生日プレゼントに渡すと喜んでもらえる」と多くの若者たちの心をつかんでいるという。ただ、開封してからでないと中身が分からないため、自分が欲しかったデザインのぬいぐるみが当たらないこともある。その場合、最近では「Baby Three」を自分好みにカスタムをして楽しむ人も多い。開封するまでどのデザインに当たるかが分からないのがブラインドボックスの魅力ではあるものの、実際に開封してみると自分が欲しかったデザインではなく落胆するケースも少なくない。自分が欲しかったデザインでなかった時は友人や親戚などにあげることが多い。また、カスタムをすることで欲しいデザインでなくても自分の好きなデザインに変えられることで最近ではネイルサロンなどが副業としてカスタムサービスを提供。世界に一つだけの自分の「BabyThree」になることから、カスタムする前提で購入する人も増えているようだ。さらに、バレンタインデーなどのイベントでは、「Baby Three」と花を組み合わせたギフトが人気に。花屋が関連商品を販売するなど、異業種との連携も見られる。このトレンドは、単なるブームに留まらず、ベトナムZ世代の消費行動や価値観を反映した現象として、ビジネス界からも注目を集めている。

一部、政治的リスクが浮上する反面
「Baby Three」人気は依然として高い

Eコマースデータの収集・分析サービスを提供する企業「YouNet ECI」のEcomHeatプラットフォームの報告によると、2024年第2四半期にShopeeとTikTok Shopの上位30店舗で、人気アートトイブランド「Labubu」と「Baby Three」をフィーチャーした商品が29万3,000点を販売され、平均して毎月約49,000個が購入されていると発表した。「Baby Three」がベトナムで爆発的な人気を博した背景には、Z世代特有の消費行動と心理が深く関わっている。TikTokなどのSNSを通じた拡散力により、開封動画が瞬く間に拡散され「何が出るか分からない」というワクワク感や可愛らしいキャラクターがZ世代の好奇心を刺激した。豚やウサギなどの動物をテーマにした「Baby Three V1」や星座・果物・シーフードなど様々なシリーズを展開しており、レアアイテムの存在がコレクション欲を掻き立てている。


ただ一方で2024年3月から一部の「Baby Three」のキャラクターが問題視されている。キャラクターの顔に南シナ海の「九段線」に似た模様が描かれているとの疑いが浮上し、不買運動や輸入規制の動きも出ている。これはベトナムの領有権意識の高まりと中国製品に対する警戒感の表れており、ニュースサイトでも広く報道された。ただし、これらの動きは一部にとどまり、「Baby Three」の人気は依然として根強いものがある。Z世代の間では、政治的な問題よりも、キャラクターの魅力やトレンドへの関心が優先される傾向が見られている。企業は、このトレンドをビジネスチャンスと捉える一方で、政治的なリスクも考慮する必要。ベトナム市場においては、Z世代の消費行動を理解し、彼らの価値観に寄り添ったマーケティング戦略が求められている。