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2018年アジア・トレンドランキング ~インドネシア編~

インドネシア
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2018年8月18日~9月2日までの16日間にわたり、45ヵ国・地域から約11,000人の選手が参加した第18回アジア競技大会は、ジャカルタとパレンバンの2都市で開催された。インドネシア選手も数多くのメダルを獲得し、大いにスポーツ熱が高まった2018年。また、大統領選を2019年4月に控え、今後の動向が注目されるインドネシアのランキングをご紹介します。

 

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 アジア競技大会の開催で高まるスポーツ熱

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インドネシアで行われたアジア競技大会にてメダル獲得数の多かった「Pencak Silat(プンチャック・シラット)」は、今大会から採用された競技。鍛錬を積んで心豊かに生きることを理想とし、インドネシアを中心とするマレー地域の伝統競技である。「Koreografi Puncak」というSilatの演武競技も子どもに人気があり、大会も行われている。また同じくメダル獲得数の多かった「Wushu(カンフー)」の人気が高まっている。バドミントンなどのスポーツも今までより人気が出ており、貸しコートなどは予約が取りづらくなっている。

トレンドの背景

これまで手軽にできるランニングやサイクリング、ズンバが流行った過去はあるが、基本的にスポーツにあまり触れる機会がなったインドネシアにおいて、ジャカルタ・パレンバンにて行われたアジア競技大会の反響は大きい。メダル獲得数98個で4位と好成績を収めたインドネシア。メダリストへの賞金も高額だったことから、趣味としてではなく競技スポーツとして始める人が増加している。大会開催中は車両規制もあり、普段の生活にも支障をきたしたが、素晴らしいと評判だった開会式に始まりチケットが売り切れになるほど、連日多くの人が会場を訪れた。大会終了後は何かスポーツを始めたいと考える人もおり、様々なグローバルスポーツへの関心も高まっている。

 

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 PC上で対戦する「e-sports」人口増加

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「e-sports」とは、エレクトリックスポーツの略であり、コンピューター上で複数の人と対戦するスポーツ競技。大会はスタジアムなど大きな会場で行われ、観客は数万人になることもある。インドネシアでもe-sports人口が増えており、コミュニティも拡大している他、インドネシア企業が開発するゲームの提供も徐々に始まっており、話題を呼んでいる。最近ではコンピューターだけではなくモバイル仕様のゲームも増え、ますますe-sports界が盛り上がると予想される。

トレンドの背景

インドネシアでは2008年のワールドサイバーゲーム大会(WSG)の出場をきっかけに、e-sports人口が増えていったが、2018年インドネシアで行われたアジア大会の種目にもなったことでさらに注目を浴びている。また、11~12月にかけてe-sportsのインドネシア大会が行われ、一気に熱が高まっている。人気の理由はその賞金額にもある。2つのチームに分かれて5対5で戦うゲーム『DOTA2』のチャンピオンシップでは過去に2,400万ドル(約27億円)の賞金が用意された。たくさんの参加者が集まるe-sportsの大会に目をつけNISSANやCocaCola、Intelなど大企業も投資をしている。モバイル仕様のゲームができたことで手軽に参加できるようになった他、趣味から仕事としてのe-sports人口も拡大中。

 

 利用者広がる「GOJEK」のサービス

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2010年創業の配車サービスアプリ「GOJEK」は、インドネシア国民にとって、中でも都市部に住む人にとって日々の生活に欠かせないものになっている。2018年に入り、配車・配達以外のサービスを「GOLIFE」アプリに分化。「GOLIFE」の内容は以前よりあったマッサージや掃除に加えて、車の清掃・修理、ガソリンの配達、家電製品の修繕からエアコン清掃、家屋の修繕まで多岐にわたる人材派遣サービスが充実。かゆい所に手の届くサービスとして、利用者が拡大している。

トレンドの背景

MRT(高速輸送システム)建設や道路拡張工事、車両ナンバー規制など様々な道路事情もあり浸透した配車アプリ「GOJEK」。バイクタクシーや個人タクシーなどの配車サービス、デリバリーサービスに始まり、家から出ることなく用事を済ませたい需要に合わせて人材派遣サービスへと拡張。このサービス拡張は同時に、雇用を増やすことにもつながっている。同様の配車アプリ「Grab」は、ダウンロード数では「GOJEK」を上回っているものの、配車やデリバリー、買い物代行のサービスにとどまっている。競合ひしめく市場において、それぞれの特徴を出したサービスが、新たな利用者獲得の鍵となっている。

 

 ローカルニーズに応えたミニマートが続々登場

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セブンイレブンの撤退により、2017年に創業したミニマート「Podjok Halal」が話題になっている。セブンイレブンの空き店舗を利用し、飲料から調味料までハラルフードを専門に取り扱っている。また、セブンイレブンのように弁当も販売しており、事業形態はそのまま引き継いでいる。「Podjok Halal」の他にもハラル商品を扱う「212 mart」や「OK OCE Mart」など大手ではないミニマートが増えてきている。全体の35%はフランチャイズなど個人営業が占めている。「212 mart」では、お祈りの時間になると15~20分間閉店するなど、ローカルに根差したミニマートが登場している。

トレンドの背景

2015年4月にミニマートなど小規模店舗でのアルコール販売規制が始まり、セブンイレブンは175店舗まで広げた店舗も徐々に縮小し、2017年6月末インドネシアのミニマート市場から撤退した。そのコンビニの空き店舗を利用し新しく登場したのが、ローカル御用達のミニマートだ。その1つ「Podjok Halal」は、セブンイレブンの撤退理由がアルコール販売規制だっただけにハラル商品を多く扱う店として、ムスリムが安心して買い物できることをアピールしている。国民の多くがイスラム教であるインドネシアにおいて、イスラム教の客を取り込むことは重要なポイントだと言える。

 

 ケトジェニックダイエットでコンニャクや白滝の需要高まる

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富裕層を中心に流行り始めた「ケトジェニックダイエット」は、糖質や炭水化物を制限するダイエット。米や麺の代替として、一般的なスーパーでも購入できる白滝が人気になった。コンニャクや白滝は、オンラインショッピングでも購入できるため、高価なケータリングを注文することなく、主食の代替として手軽に利用できる。コンニャク自体に味がないため、ココナッツミルクで炊いたり、焼き飯のように炒めたりと濃い味つけのインドネシア料理にも合いやすい。米をコンニャクライスで代替したケトジェニック弁当を提供する「shirataki kitchen」が登場したり、乾燥白滝、乾燥白滝ライスが販売されるなど新製品も登場している。

トレンドの背景

海外セレブから人気に火のついたケトジェニックダイエット。食事量を極端に減らすことなく、食べるものに気をつければ結果が出るダイエット法に、インドネシアの富裕層から人気が拡大。このダイエットには炭水化物は厳禁で、代替としてローカロリーのコンニャクや白滝が注目された。それまでも販売はされており、糖尿病患者などの病人食としては知られていたが、一般的に食べられるものではなかった。ケトジェニック弁当などのケータリングが始まったことで、さらに多くの人に知られるようになり、一般家庭でも調理をする人が増えつつある。

 


■高まるスポーツ熱

インドネシアの国民的スポーツといえば、バドミントン。プレミアシリーズのインドネシア・オープンが開催される他、スポーツ用品店の売場にはバドミントン関連の商品がずらりと並び、その人気を裏づける。しかし、アジア競技大会の開催により様々なスポーツ施設ができ、これまでなかったスポーツに触れる機会が増えたことで、今後は「e-sports」をはじめ、グローバルスポーツへの関心も高まっていくことが予想される。また、アジア競技大会の成功を受けて、2032年の夏季五輪開催に立候補する意向を示している。

■生活スタイルやニーズに対応したサービス拡大

政府による交通渋滞への様々な対策が行われているが、渋滞緩和にはつながっていない。都市部の生活に欠かせない配車サービス「GOJEK」は、配車・配達以外のサービスを「GOLIFE」アプリに分化し人材派遣サービスを開始。車の清掃・修理、ガソリンの配達、家電製品の修繕からエアコン清掃など、かゆい所に手の届くサービスを提供し利用者が拡大。また、ハラル商品を取り揃える「Podjok Halal」や「212 mart」、「OK OCE Mart」といったミニマートが話題に。こうしたインドネシアの生活者ニーズを捉えたサービスが成長している。

TNCアジアトレンドラボでは、
こうした動きを2019年も引き続きウォッチしてまいります。
他国のトレンドランキングの更新もどうぞお楽しみに。

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■調査概要調査方法:TNCアジアトレンドラボ、現地ボードメンバーを中心としたグループインタビュー、およびライフスタイル・リサーチャーによる定性調査

調査時期:2018年10~12月

調査対象者:ジャカルタに5年以上居住する男女、かつアッパーミドル以上の生活者、10代後半~20代前半の、トレンドに敏感な層

調査実施機関:株式会社TNC(http://www.tenace.co.jp/)および海外協力会社


■株式会社TNC

各国の高感度層で構成される現地ボードメンバーと共にグループインタビューやリサーチを定期的に行い、ウェブサイトで情報発信や分析を行う『TNCアジアトレンドラボ』を2015年8月よりサービス開始。また70カ国100地域在住600人の日本人女性ネットワーク『ライフスタイル・リサーチャー』を主軸とした海外リサーチ、マーケティング、PR業務を行う会社です。現地に精通した日本人女性が、その国に長く暮らさないとわからない文化や、数字に潜む意味をひもとき、日本人が未だ知らない斬新なモノやコトを探すインバウンズ、日本企業が進出する際のベースとなるリサーチ・アウトバウンズや、現地の人たちの暮らしぶりや生活習慣のレポートから、海外におけるヒント探し、市場レポートなど幅広く対応します。また、レポートに基づいた視察のアテンドも行っております。


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株式会社TNC TNCアジアトレンドラボ編集部 濱野・木下

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