休日には3時間待ちの人気の「スシロー」
「ハイキュー!!」コラボで人気に拍車がかかる
2021年に中国本土市場に進出した「スシロー」。2024年8月21日に北京1店舗目としてオープンした北京新店では日本の一部店舗でも導入している大型タッチディスプレイ(デジロー)や日本にはない個室(大人数での食事に対応)を導入。休日の待ち時間は3時間超え。事前予約はwechatのミニプログラム上で可能であり、予約可能数は総座席の3分の1。残りの座席は実際に店舗へ行き、番号札を取得する流れとなっている。中国人に人気のメニューは、マグロ、サーモン、うなぎなどのお寿司以外にエビアボカド、フォアグラと牛肉などのアレンジ寿司、天ぷら、汁なし辛麺などが挙げられる。中国のSNSでも、味良し、コスパ良しと総じて高評価。2024年8、9月に日本でコラボしていた「ハイキュー!!」が2025年2月10日より中国でもコラボ中。「ハイキュー!!」は中国でも人気であり、25元や118元のお寿司セット注文でコラボ商品がプレゼントされる。
中国国内では独自のお寿司屋や回転寿司が多く見られる中で、日本の寿司チェーン店は別格の人気を誇っている 。主な違いとして3点あり、1つ目は「食材」になり、日本の寿司は魚がメインであるが、中国では魚以外の肉や麺に注力している。中国の店舗ではネタの種類が豊富で、生魚を使ったネタだけではなく、中国人にとってなじみの深い味にアレンジしている。2つ目は「味」で、日本の寿司は素材の味を生かすが、中国では調味料を加え、創造性に重きを置いている。3つ目は「価格」で日本の寿司は価格も安く、コスパ良いと好評。中国チェーンの寿司は価格が少し高めになっていることが多い。
福島の処理水問題など懸念点もあるが
日本の食文化への関心は引き続き高い
北京に1号店がオープンしてから半年の間で市内に4店舗オープンしているのにもかかわらず、常に大行列で待ち時間が数時間にも及んでいる。北京は伝統と現代が融合する街であり、北京に住む人々は味の質を大事にする一方で新しいものも好む傾向にある。スシローは品数が豊富であり、魚も新鮮、デジローという最先端のシステムの導入により画面上でのゲームや当たりの景品などエンターテイメント性もあり、飽きることのない日本食体験ができる。ネット社会の現代では中国でも食に関しては中国向けにアレンジしているものより、本場の味、本場の文化を重視する傾向にある。また、北京では「はま寿司」1号店が2024年1月17日にオープン後、3店舗まで展開。
近年、福島の処理水問題や日中関係の悪化に伴い、日本のお寿司は受け入れられないように思われたが、蓋を開けると、どの店舗もオープンから大盛況。現地で暮らすにあたり、何度かタクシーの運転手から福島で問題が起こっているのに、日本人は魚を食べるのかと聞かれたことがある。一定数の中国の人々は日本の魚を受け付けないような感覚があったが、それでも日本の食文化が好きな人々が多く、日本への信頼性も依然高く、日本の寿司チェーン店の大盛況に繋がっている。日系回転寿司が中国市場でどこまで成長するのか、今後も目が離せない。