平均視聴率6.99%と異例の高視聴率を獲得
作中に登場した食べ物や飲み物が注目される
中国で2023年1月中旬~2月上旬まで放送されたドラマ「狂飙」が異例の大ヒットとなった。視聴率1%を超えればヒットドラマといえる中国で平均視聴率6.99%と高視聴率を獲得した。ドラマの内容はこの20年間の高度経済成長時代を舞台に悪を一掃する刑事ドラマになり、スピード感のあるストーリー展開が人気、すでに続編が噂されているほどとなっている。
ヒットしたドラマの名所を訪れる聖地巡礼も盛り上がっており、撮影地の広東省江門市にはドラマ放送中の春節休暇の7日間で、約254.93万人の観光客が訪れ、前年同期比34.5%増。観光収益に関しては、14.54億元(約278.3億円)となり、前年同期比29.5%増となった。また、劇中に登場した食べ物、飲み物への注目も集まり、劇中に出てきた広東グルメのデリバリーオーダー数が、全国で約7倍になったとのデータもある。米を主原料として蒸した広東点心の1つの「腸粉」は、検索数が9倍になり、作り方や劇中の食べ方などがSNSで話題になった。また「豚足ラーメン」はドラマ放送期間中、デリバリーでのオーダー数が増加したという。コロナの感染拡大で落ち込んでいた広東省と中国経済全体に明るい兆しとなるブームになっている。
放送期間が最も大切な祝日・春節に重なり、
時流に乗った不正を暴く内容が大ヒットの背景
ドラマの放送期間がゼロコロナ政策を転換した直後で、コロナ感染者数・療養者数が増えていたことや、最も重要な祝日である春節の大型連休と重なったことが、大ヒットになった大きな要因とされている。ゼロコロナ政策下で、多くの不正が取り上げられたこともあり、ドラマの中で悪と不正が一掃させていく様子に、視聴者は共感を覚えた。食事のシーンで登場したリンゴ酢飲料の「天地壹号」は、広東省ではポピュラーだが中国全土ではあまり馴染みがなかったが、ドラマの放送後にネット上で注目度が上がった。メーカーから「天地壹号だけでなく、広東省グルメの周知と飲食店の再興を促進してくれた」として、ドラマ撮影クルーに対して感謝状と天地壹号が10トン贈呈され話題となった。