販売される商品のラインアップが増え、
多様化を遂げるインドネシアの自動販売機
インドネシア初のハーゲンダッツのアイスクリーム自動販売機が登場した2023年末ごろから、インドネシアの自動販売機が変化を見せ始めている。2024年に入ると、政府がUMKM(零細企業)のサポートを目的に、政府機関施設内、MRTや国鉄駅、空港などに自動販売機を設置し始め、多くの人々に知られるようになった。政府が設置する自動販売機では、零細企業が生産するお菓子を主に取り扱っており、たとえばインドネシアのお菓子メーカー「Rizkiku」の「kukis kurma(ナツメヤシクッキー)」が20,000ルピア(約180円)で販売されている。店舗を構えるよりも効率的に販売ができると注目を集めている。これまでは飲料が中心だった自動販売機だが、いまではスナック菓子やパン、カップ麺、軽食といった食品のほか、化粧品、ビーチサンダル、ヒジャブといったさまざまな商品も取り扱われている。
特にMRT駅構内では、通勤者向けに新商品をプロモーションする目的で自動販売機が設置されることが増加しており、20~40代の利用者から人気を集めている。たとえば、ビーチサンダルの自動販売機では、「flip-flop」や「Havaianas」といった人気ブランドの商品が270,000ルピア(約2,500円)から販売されており、ヒールが取れたり、雨で靴が濡れたりするニーズに応えている。また、ヒジャブの自動販売機も汗をかいたり雨に濡れたりした際に便利で、通勤者の間で重宝されており、139,000ルピア(約1,200円)で販売されている。
零細企業が自動販売機を通じて
商品を販売する動きも活発化
インドネシアで自動販売機が導入されたのは2000年ごろからだが、その数は長らく増加しなかった。理由として、頻繁に起こる停電と治安の問題が挙げられる。屋外に設置することが難しく、設置場所は主にオフィスビルやマンション、駅構内など、電力供給が安定しており、盗難防止が可能な場所に限られていた。しかし近年、非接触で商品を購入できる利便性が評価され、設置数が徐々に増加している。さらに、政府のサポートを受けて零細ビジネス(UMKM)が自動販売機を通じて商品を販売する動きも活発化している。国鉄の駅や政府系施設内に設置され、国内ビジネスの振興に貢献している。また、「Tokopedia」などのECサイトでは、新品や中古の自動販売機が20万~50万円ほどで販売されており、このビジネスに参入する事業者が今後さらに増えることが予想される。