新しい音楽ジャンルとして定着
コンサートやライブも大盛況
コロナ禍以降、インドの音楽業界に変化が訪れた。これまで歌謡曲調の映画挿入歌が主流だったが、ロックやヒップホップなどのジャンルとインド独自の音楽を融合した新たな「I-POP(インドポップ)」が誕生し、2024年にはその人気が定着した。I-POPの代表的なアーティストであるパンジャブ州出身の俳優兼シンガー、ディルジット・ドーサンジは、2024年10月26日・27日のデリー公演で6万人を超える観客を集め、市内の大渋滞がニュースで取り上げられるほどの注目を浴びた。公演チケットも即完売するなど、圧倒的な人気を誇る。これまでインドで歌手といえば映画挿入歌を担当するプレイバックシンガーが主流だったが、I-POPシンガーたちはオリジナル曲を歌い、新しいジャンルに挑戦している。その音楽性の新鮮さや自由なプロモーションスタイルが評価され、コンサートを楽しむ人も増加している。
マンネリ化していたインドの音楽業界
ヒップホップなどを組み合わせた新鮮さが人気
コロナ禍以降、NetflixやAmazon Primeなどの動画配信サービスの普及により、ボリウッド映画の人気が低迷し、製作本数が減少した。それに伴い、プレイバックシンガーの歌声を聞く機会も減少した。一方で、農村部や貧困層にもインターネットが普及し、スマートフォンを使ってYouTubeやSpotifyなどで好きな音楽を簡単に楽しめる環境が整った。これにより、人々はさまざまな音楽ジャンルに触れる機会が増え、好みに合った音楽を自由に楽しむようになった。映画の挿入歌は同じようなリズムや決まったシンガーが歌うことが多く、マンネリ化していたが、ロックやヒップホップ、ポップスとインド独自のリズムを組み合わせたオリジナル曲が新鮮さをもたらし、多くの人に受け入れられている。