食・飲料

ジャカルタの食文化に変化の兆し!?アラブ料理のファストフードチェーンの登場で身近な選択肢に

インドネシア
facebookでシェア
Twitterでツイート
Loading

アラブ料理を提供するチェーン店を皮切りに
手軽に楽しめる食事の選択肢の一つに

ジャカルタでアラブ料理の人気が若者を中心に人気となっている。アラビア半島から渡ってきた文化の中で、イスラム教はインドネシアに深く根付いたが、食文化に関してはほとんど普及していなかった。そんな状況を変えたのが、2018年にスタートしたファストフード形式でアラブ料理を提供する「Emado‘s Shawarma」。 2024年にジャカルタの高級モール「Pacific Place Mall」に出店するなど、店舗数を拡大しており、11月現在で100店舗近くまでになっている。メニューは米を好むインドネシア人の嗜好に合わせ、米と鶏肉を使ったアラブ料理のピラフ「Chicken Nasi Mandhi」をメインにしている。鶏肉(モモかムネを選択)+ご飯(4種類から選択)+ドリンクのセットがわずか40,000ルピア(約380円)で提供され、庶民的な価格と手軽さが魅力だ。「Emado‘s Shawarma」の人気を受けて、屋台やカジュアルな店舗でもアラブ料理を提供する店が続々と増えており、1食あたり250〜350円という低価格で提供されている。スパイスの効き具合を控えめにし、辛いものを好むインドネシア人向けにサンバルを添えるなどのアレンジもされている。こうした工夫により、従来は高級レストランでしか提供されていなかったアラブ料理が庶民の味となり、手軽に楽しめるものとなっている。また、アラブ料理のピラフ「Chicken Nasi Mandhi」だけでなく、ケバブ(シャワルマ)やスイーツのバクラヴァなども認知が拡大し、さらにドバイチョコレートの注目度も上がっている。

食文化だけでなく、ヒジャブやメイクなど
アラブ文化への関心が高まるインドネシア

2021年の宗教省の統計によると、インドネシアの総人口の約87%がイスラム教徒であり、世界最大のイスラム人口を有する。しかし食文化においては、インドネシアにおけるアラブ文化の影響は少なく、特にジャワ島では仏教やヒンドゥー教の影響も残り、アラブ料理はほとんど根付いていなかった。しかしここ数年、インドネシア人の間でアラブ文化への関心が高まり、ヒジャブやメイクなどで、アラブスタイルが人気になっていた。2024年に入ると「Emado‘s Shawarma」以外にも低価格のアラブ料理店が増加し、若者がSNSで紹介することで人気が拡大。また、若くしてメッカ巡礼に行く人が増え、本場のアラブ料理に触れる機会が増えたこと。アラブに出稼ぎに行ったインドネシア人が、帰国後にアラブ料理を求めるようになったこと。そして「Halal」の安心感があることも、アラブ料理に対する関心を高める一因となっているようだ。