10年前までラオス国内で
ほぼ見かけることがなかった「イチゴ」
2010年頃までラオス国内でほとんど見かけることのなかった「イチゴ」が、ジューススタンドや屋台で売られているフレッシュジュースやシェイク(15,000KIP前後/約180円)のメニューに加わったり、カフェのケーキやアイスクリームに使われるようになったりしてきている。
イチゴは、2015年頃からタイ国内で栽培された物や輸入品も含めて流通するようになった影響で、2017年頃からはラオス国内での栽培も始まった。国内産やタイ産が1パック2~30,000KIP程度(約240~350円)で買えるのに対し、100,000KIP(約1,200円)以上もする日本や韓国から輸入された高級なイチゴも、イチゴがラオスで浸透するにつれ、売られるようになった。もともとラオスでは、熟す前の青いマンゴーやタマリンドなどの酸っぱい果物には、唐辛子を混ぜた塩などをつけて食べる習慣があり、イチゴも当初は唐辛子塩とセットで売られていたが、徐々にラオス国内で栽培されたイチゴも品質が上がり、甘くなってきたので、そのまま食べることが定着してきた。
日本人経営のイチゴ農園も設立
イチゴ栽培の先駆けに
イチゴがラオスに浸透した背景として、次のようなことが考えられる。まず、これまで生鮮食品は市場で購入するものだったが、スーパーマーケットの登場により冷蔵庫での陳列が可能になり、品質管理が必要な食品も販売しやすくなった。また、ラオスでは、タイで流行したことが遅れて流行ることがよくあり、イチゴもその流れに乗っている。
そして、ラオスには日本や韓国の商品への憧れや信頼を持っている人が多く、それらの国から輸入されたイチゴは、非常に高価であるにも関わらず、富裕層を中心に受け入れられている。これは近年の経済成長と共に、平均実質賃金も年々上昇していて、割高な輸入果物を購入できる人が増えたことがある。
ラオス南部のパクセーでは、日本人経営の「山本農園」が2012年に設立。2017年12月からはツーリストファームとしてオープンし、現地でイチゴ栽培やイチゴ狩りを始めた先駆けになっている。同地域では次々とイチゴ栽培をする農園が出てきており、将来的にはラオス産イチゴの品質をより高めて、近隣諸国へ輸出することが期待されている。