カジュアルからフォーマルまで
多様なシーンで使用できる民族衣装が増加
近年、ミャンマーでは伝統衣装の腰に巻きつけて着用する長い巻きスカート「ロンジー」をカジュアルに着こなすZ世代が増えている。その背景には、2020年頃からの物価高騰、特に輸出入の規制や現地通貨安により、海外ブランドが手に入りにくくなったことも影響している。花柄や幾何学模様、各地域独特のデザインなどの民族の伝統的な模様が用いられつつ、ビビッドより淡いカラーを用いた現代的なスタイルで着こなしている人が多い。ローカル素材を用い、民族衣装のデザインを取り入れたカジュアルブランド「Noon Couture」では、スカートが伝統的な民族衣装に、レース生地を使ったトップスが人気になっている。特に女性らしいレースのスタイリッシュなデザインの「Lace Tops(約1,300円)」や、ミャンマー東北エリアのシャン州スタイルのトップス(約1,250円)が人気とされる。カジュアルからフォーマルまで多様なシーンで使いまわせるおしゃれな着こなしを意識した民族衣装が増えている
伝統的なスタイルを残しつつ、現代的な
おしゃれを追求する衣装が女性から支持
ミャンマー国内では、コロナ禍と海外製品の高騰により、国内ファッションが注目を集めている。地元素材を生かした買い物をすることで、伝統を守りながら生産者に利益を還元するメリットがある。従来、海外ファッションに求められてきたスタイリッシュさは、今では国産シルクなどの布素材や民族独特の模様・スタイルを用いたデザイン性のある国内の新しい伝統衣装に求められるようになった。2020年頃から、海外ブランドが手に入りにくくなったこともあり、女優やインフルエンサーも公の場で地元素材や国内デザイナーブランドのファッションを着用するようになり、伝統を大事にしつつも現代的なおしゃれや可愛さを追求する衣装が一般の女性からも支持を受けている。質が悪く高価な国外ブランド製品よりも、国内の高品質な製品が中間層や富裕層の間で求められている傾向がある。