エコロジー

食品ロスに取り組むスタートアップが続々登場

シンガポール
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自身の体験をもとに
食品ロスに取り組む若者たち

食品ロスに取り組むスタートアップが増えてきている。「UglyFood」は、大学のプロジェクトを通し、食品ロスを痛感した2人の学生が始めたスタートアップ企業だ。見た目が悪いといった理由で売れ残った野菜や果物を引き取り、ジュースやシャーベットに加工し販売する取り組みのほか、売れ残りの野菜や果物を割引価格で購入できるアプリを開発している。価格は、ポテトチップス(40g入り)20個ケースが、通常39シンガポールドル(約2,972円)のところ25シンガポールドル(約1,905円)、オーストラリア産イエローネクタリン6個が通常価格5.50シンガポールドル(約419円)のところ4.50シンガポールドル(約343円)である。そのほかアプリでは、ビュッフェで余った料理を格安で提供するホテルの検索機能もある。
Lumitics」は、飲食店や航空会社等の食品ロスを減らすため、ゴミ箱にセンサーを取り付け、AIにより顧客の食べ残しのデータを収集、分析するシステムを開発する会社だ。政府系ファンド、国立大学等のバックアップを受け、順調に開発を進めている。
Treedots」は、食品の余剰在庫を抱える業者と、飲食業者のためのBtoBマッチングアプリだ。シンガポールマネージメント大学(SMU)の卒業生が、ヨーロッパ旅行中の体験を元に、同校の卒業生の起業を支援する「SMU Institute of Innovation & Entrepreneurship’s incubation programme」の支援を受けて、起業した。メーカーが余剰食品を期限ぎりぎりまで手放さず、Foodbankなどに食べられる状態の食品が流されることが少ないのを見て、余剰食品を販売するプラットフォームをつくったという。

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サステナビリティを浸透させるために
利用者の利益になるサービスを提供

政府がサステナビリティを推進するプロジェクトをいくつも遂行していることもあり、食品ロスの概念自体は浸透しているが、一般的にシンガポール人は金銭感覚が鋭く、サステナビリティよりも損得を重視する傾向にある。そのため、欧米のように「環境に良い」という謳い文句だけでは、あまり共感を得られないので、サステナビリティを追求するスタートアップは、利用者の利益にもなるサービスを提供していることが特徴的だといえる。
シンガポールでは、将来性を見込まれた企業は、政府系ファンド等のバックアップが期待できることもあり、今後もサステナビリティ関連のスタートアップが増えることが予測される。

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