高雄にオープンしたホテル「承億酒店」、
「旅行の目的地」としての役割を担う新しいコンセプトが話題
2022年9月に高雄にオープンしたホテル「承億酒店」は、「承億文旅」グループのホテルで、高雄市の新興開発地域である港のエリア「港都亞洲新灣區」にあり、高雄市政府文化局と共に企画、建設された地上27階、地下6階、全208室のホテルである。空中の渡り廊下で高雄市立図書館と連結しているほか、2万冊の本がホテル各所に置かれており、ホテル内には書店「承風青鳥書店」も入っている。 「青鳥書店」は、2016年に「台北華山1914文化創意產業園區」にオープンした書店で、カフェのある美しい建築、講演会や読書会等のイベントの開催、個人出版の本の販売等で人気となり、現在台湾全土に5店舗を展開している。
ホテルの各部屋や透明の仕切りのみの屋上プールから「港都亞洲新灣區」エリアを見渡す高雄の眺望も話題となっている。台湾の要素を各所に取り入れ、都市の「読書のカルチャーロビー」、また「旅行の目的地」としての役割を担う新しいコンセプトのホテルとして創業。アメニティや建築などにMade In Taiwan(MIT)を取り入れているのが特徴で、こだわりのアメニティは、廃棄ガラスから造られた素材の「春地玻璃」のコップ、台湾の緑の大理石「蛇紋石」で作られたトレイ、茶葉や漢方などの自然素材から作られた自然にやさしいナチュラルソープ「大春煉皂」、カメリアオイルを配合したオーガニックシャンプー「茶籽堂」等で、環境にも配慮したブランドを使用している。各部屋に台湾で昔から愛されているスナック菓子がカゴに詰められて置かれているのもユニークだ。茶缶を配置した中華風の装飾やフロントの台湾語でのあいさつなど、随所に台湾らしさが感じられる。
政府推進の「文化創意産業」、
台湾カルチャーを上手く取り入れた創作ブランドの登場に期待
台湾では政府や民間がMIT(台湾製)を世界に推し進めようという動きが活発で、政府が2002年から「文化創意產業(カルチャークリエイティブ産業)」を提唱し、文化部を中心に取り組んでいる。「文化創意產業」とは、台湾独自の文化を取り入れた創作ブランドを奨励し産業として発展させるもので、「文化創意產業」に属するものは、ビジュアルアーツ、工芸、音楽、映画、出版など多岐に渡る。「承億文旅」は、2008年に「承億建設集團」が作り出したホテルで、一般のホテルと異なり「クリエイティブな美学」に基づく「文創設計旅店」のブランドとして知られている。