レトロブームが続く台湾で人気チェーンから
伝統料理をアレンジしたメニューが話題を呼ぶ
近年レトロブーム「復古風(フーグゥフォン)」が続く台湾では、人気チェーン店が次々と昔ながらの台湾伝統料理を商品に取り入れ、SNSやネットニュースで話題となっている。台湾の「Pizza Hut(必勝客)」では、祖先の墓参りをする清明節(チンミンジエ)に向けて、お供え物にも使われる台湾伝統の草餅「草仔粿(ツァオワーグィ)」をイメージした餡子入りのピザ「芝心雙粿草仔龜披薩(ズーシンシュアングォツァオワークィピィザ)」を販売(399元/約1900円)。開店と同時に多くのオーダーが入るほどで、SNS映えを狙った台湾の若者に人気となった。また、台中発のドリンクチェーン「一沐日(イームーリー)」でも、草仔粿を使用したミルクティ「逮丸奶茶(ダイワンナイチャ)」(70元/約340円)を販売。昨年に引き続き大ヒットを記録し、多い日には1店舗で1日2,000杯を販売しているという。カップのデザインや店内の内装など、昔ながらの台湾伝統グルメを取り入れた展開が人気を集め、2024年には新たに20店舗以上を展開。オンラインニュースで「今年最も人気だったドリンクチェーン」として取り上げられた。また、人気ドリンクチェーン「CoCo」も、台湾客家族に伝わる伝統の飲料「擂茶(レイチャ)」をタピオカミルクティ風にアレンジした「冬韻擂焙珍奶(ドンユィンレイベイジェンナイ)」(70元/約330円)を販売し、話題を呼んだ。
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台湾ならではの伝統食材を活用し、
見た目のインパクトを重視した商品が増加
台湾の飲食業界では、SNSで話題になることが重要な戦略のひとつであり、見た目の斬新さや伝統を大切にする愛国心を取り入れた商品は、台湾人の心に刺さる傾向があるといえる。伝統食材やメニューを取り入れた商品開発はコロナ前から徐々に増えていたが、2024年は特に見た目のインパクトを重視した商品が増えており、いかに印象に残る商品を生み出すかがヒットの鍵となっている。中国との関係が緊張状態にある台湾では、ドリンクチェーンの社長がSNSに投稿した中国寄りの発言がきっかけで不買運動が起き、店舗を閉店せざるを得なくなったケースもある。伝統食材を使用し愛国心をアピールすることも、台湾でのマーケティング戦略になっている。
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